見出し画像

天上のバレエ・地上のダンス(90) めぐる勉強代

一話完結、趣味のバレエ・ダンスのおはなし。よくある「ダンス上達法」ではありません。回想やら恥かいたエピソードの記録です。
(1629文字)


親子レッスン卒業

じぶんがバレエしたさに、娘を習わせて、じぶんもレッスンにもぐりこむ。
親子でバレエスクールに入会。
しかしヨチヨチ習っていた娘は、小学生になり、ポンとうまくなりました。


ジュニアクラスでメキメキ頭角をあらわす娘。はんたいに、3年習うも、頭打ち状態のわたし。
娘のほうが上手いと、おもしろくない。できずにミジメになるわたしがいました。


大人は骨の成長も止まって固くなっているのでトゥ・シューズを履いてもよい。しかし履けても動けない、立てない、踊れない。


つまさきが痛い、カラダが重い、膝が伸びない……。つまさきの一点で立つトゥ・シューズ。大人のバレエのむずかしさ。


 先生の指導は、できない大人生徒への共感がない。幼少のころからバレエを習っているひとには「できないつらさ」がわからないのだろう。
わたしだけ先にそのスクールを、やめた。





娘の発表会

娘が小学2年生になった年だ。
わたしは、娘のレッスンの送迎だけして、他のスクールに入会した。バレエは続けたかったので。大人専門のスクールで親身になってくれる先生の存在もありました。


発表会の申込み用紙
そんなとき娘のクラスで配られた。
もう、そんな時期か。今回からは、ひとりで出てもらおう。
参加費用・5万円を添えて用紙を提出しました。
先生から、衝撃の発表があった。


ジュニアクラスは、トゥ・シューズで発表会に出てもらいます





トゥ・シューズ

小学校低学年のジュニアクラス。
まだ、早いのではないか?
トゥ・シューズを履くなんて!
それは高学年になってからでも、いいのでは。
半年でも1年でも先のほうがイイ……。


先生がいうのだから、トゥ・シューズを履いても、大丈夫と思うが……。娘は運動神経が良いほうなので、なんなく踊れるだろう。


いや、捻挫とか、ケガしたら大変や。
じぶんがトゥ・シューズを履きこなせないトラウマもありました。
無理をさせてはいけない。


「発表会は、バレエシューズで出たら? トゥ・シューズたいへんやし、ホントに、むずかしいよ」


「うん……」




バレエやめる

いちどは了承した娘。
先生にも「うちはバレエシューズで出ます」と申告した。
先生は、なんにも言わなかった。


トゥ・シューズでクラスは盛り上がっていた。
娘は、つらかったのだろう。


「バレエやめる」


娘は、あっさりと、そのスクールをやめた。
先生は、なんにも言わなかった。
発表会のお金は、スクールに置いてきた。こちらの都合だし。


 いかなる場合も、返金はしないと紙に書いてあったから。


いい勉強になった。





めぐる因果

オットには、マイナス5万円は内緒だった。半年くらい必死でやりくりしたのは、いうまでもない。

事前に、先生にトゥ・シューズの相談をすれば良かったか?
発表会の振り付けは始まってないし、返金できたかも?
いやらしいこともチラリ思った。


親子でお世話になったお礼、とじぶんにいいきかせ、娘にも「お金は払ったのに」などイヤミはいわないようにした。
「トゥ・シューズを履きたい、ぜったい発表会に出たい」という意思もなかったのだし。

それから……20年が経つ。
娘にも、子ども(娘)ができて、習い事をすることに。
「そろばん」「体操」「英語」……
いまの時代、お子さま産業は高額だ。
発表会がないからホッとするバァさん。


「あんたは、バレエの発表会費用を払ってからバレエやめたわ」
「えぇ〜、5万円! もったいない! ゆうてくれたら出たのに!」
20年も経つと笑い話のレベルだ。


「英語やめる」
マゴは突然、あっさりと。
教材が高かったアレ。
いまどきのネットのスクールだ。
娘の落胆した顔。


どうした?
節約になる、もっとよろこんだら?


解約金、7万するねん



毎週木曜日は
「バレエ・ダンス」の日


いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまで お読みくださり
ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?