#創作大賞2022
「ポテトチップス」③
「ちょっとあんた、こんな時間にどこに行くのよ?もう暗くなるのに」
ソファーに腰掛けた母ちゃんが煎餅を食べながら言った。暗くなるといってもまだ夕方の4時だ。小学生でもあるまいし、もう高校生なんだから子ども扱いするのは勘弁して欲しい。
「ちょっと友達ん家に行ってくるから」
めんどくさいから母ちゃんには嘘をついて家を出た。俺の足はさっきナツキと別れた公園に向かっていた。ナツキがもう公園にいないことはわ
「ポテトチップス」②
私、どこをどう歩いて帰ってきたんだろう…
気がつくと家のドアの前に立って、インターホンに記されたアルファベットを見つめていた。
誰にも会いたくないな…ふぅ~っ、と深くため息をつき、ドアノブに手を掛けようとしたときガチャッとドアが開いた。
「あっ」
思わず伸ばした手を引っ込めた。
「あら、ナツキ早かったのね。部活は?」
「な~んだ、お姉ちゃん、来てたんだ。部活は…なんか調子悪いからサボっち
「ポテトチップス」①
「ユウヤ、一緒に帰ろう!」
えっ…俺と?一瞬自分の耳を疑った。
1ヶ月くらい前の席替えで、ナツキは俺の前の席になった。俺とナツキはその日のうちにLINEを交換した。正直、女子とLINEできる日が来るとは思っていなかった。それは俺にとって今年一番の奇跡だ。ナツキとLINEでやりとりしたのはたったの三回だけど、俺はそれをスクショして大切に保存している。
普段ほとんど誰とも口をきかない俺に話しかけ