貝になる自由

先日、長男(小2)が『たまに貝になってみたいと思うんだよね』と言った。

ちなみに彼は映画『わたしは貝になりたい』については知らない。私も不勉強で詳しくは知らないが、確か戦時中から戦後の実話をもとにした悲しいストーリーだったと記憶している。子どものころに一度テレビで観ただけなので、ストーリーを細かくは思い出せない。

さて、長男になぜ貝になりたいのかと聞いてみたら、『おもしろそうだから』とのこと。だってさ、ずっと海の砂に隠れたりして楽しそうだもん、と。

彼は感覚が繊細な子で、HSCの要素を多く持っている。

音や感覚に敏感で、小さい頃から外出を嫌がるし(予測できない刺激が嫌なのだと思う)、人の集まるところも嫌いだし(児童館や公園も行かない子だった)、周りの人の機嫌などに左右されやすい。

そして、私自身もそうだった。そういう子ども時代を送ってきた。子どものころは生きづらかった。

だから彼の言うことがよくわかる。

そうだね、貝は自由だよね。好きなときに動いて、あとは殻の中にいればいいし。誰にも邪魔されない。

そう、誰にも邪魔されない。


誰にでも、ひとりになる自由が、誰にも邪魔されない自由がある。
ひとりでしか成し遂げられないこと、ひとりでしか辿り着けない場所がある。
ひとりの時間の宇宙は限りなく広く深い。

たまに瞑想をする。

私の意識は暗い海の底まで降りてゆく。私のゼロポイント。そこまで降りると、自分からも解放されて、とても楽になる。

そんなとき、私は貝になっているのかもしれない。

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