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冬の入り口


初霜、初氷。
山は中腹まで雪化粧をした。



鮭が上ってこない心配な秋が過ぎて
冬は確かにやってきた。




鮮やかに彩られた木々の葉は
冷たい風に急かされて枝を離れ
温もりを纏ったままの姿で足下に佇んでいる。





弱々しかった虫の声はいつしか聞こえなくなり
小鳥たちの囀りは心なしか張り詰めた響きに変わっている。




白鳥は幼鳥を連れて降り立ち
雁は声を掛け合い正しい隊列を組んでいる。

熊たちもようやく巣穴の中で穏やかな眠りにつく頃だろう。





マリアージュのような秋の森の薫りに
雪の匂いが加わった。


見上げれば鈍色の雲の隙間に
銀色の雪の粒が重なり光を帯びている。





北国に生まれ、その自然に育まれ
歳を重ねるごとに冬の荘厳さを
ますます愛しく思う。






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