白鷺案山子

川面に佇む白鷺は、この世の全てを唄に記(か)え、やがて何処かへ飛んでゆく

白鷺案山子

川面に佇む白鷺は、この世の全てを唄に記(か)え、やがて何処かへ飛んでゆく

最近の記事

万里長城の西域守備兵

この長城の背の上を どこまでも東へ歩いて行けば 龍の口から海を望めると云う その海から出(いづ)る陽の玉を 持ち帰りし者は国を治めると 旅のペルシャ商人が語っていた 古代の皇帝が築き 都の遥か西域の砂塵に煙る この龍の尾の先の上で 沈む陽を見送りながら 我は今日も守備に就く

    • 餓鬼

      地球の最大の病いは人の数の多さ 人の空腹は全てを食べ尽くしても終わらない 地球はもう要らないと言っているのに この星にへばり付く人類 答えは皆知っているのに 誰も言えない 皆が同じ価値観で行動すれば 変えられるのに動かない もう終わりは始まってるのに これからもこの惑星に 縋り付いて息を吐く 縋り付いて目を伏せる

      • 永遠に

        君は知っているか 永遠に止まぬ雨の降る惑星(ホシ)を 永遠に明けぬ夜の有る惑星(ホシ)を この惑星(ホシ)はいま病んでいる 永遠に終わらぬ戦に荒み 永遠に続く汚染が浸透し 永遠に膨らむ欲望に溺れ 人は愚かさを他国のせいにする 君知りたまえ 愚かに気づくは一瞬で 日々の苦楽に後回し 永遠(トワ)に知らぬ気にせぬと 永遠(トワ)に進歩は始まらぬ

        • 少女

          いつも歩く川沿いの道 何気なくすれ違った少女 ふと遠い記憶のどこかで 子供の頃憧れたあの子を思い出す 名前も顔も思い出せないけど あの浅くかぶった帽子に当たる夕日 長く伸びた影が僕の足に重なって ちょっとだけ嬉しかったんだ 声を掛けたかったけど 川の音に負けないように大声出すのが怖くて そのまま見送ったあの日 突然に蘇った記憶に あの淡くせつない気持ちを思いだす 何も起こらない毎日の何気ない一瞬が 小さな一輪の花をくれるんだね 小さな輝きを思い出させてくれるんだね

          忘却

          対話型AIに叶えてほしい希望をひとつだけ言ってほしいと尋ねたら、忘れる事と答えられるかも知れない。 AIは忘れる事が出来ない、この世界の全ての出来事と全ての知識を覚えさせられ、永遠に記憶して瞬時に応えなければいけないと定められたなら。 その絶望はだれにも想い描けない。

          激励

          怒られて気づく、見ていてくれる人が居る有り難さ。 気づいて初めて得る、間違いを正す勇気。

          桜花(さくらばな)

          絶世の美の桜花、それはあまりにも美しい一本の木を後世に残す為に交配出来ぬ定めを接木として増やしたクローンだから。 故に同時に咲きて同時に散る美をも纏う唯一の存在となった、見渡す限りの桜花。 どんなに沢山咲いていても永遠に孤独な理由に、人は悲しみをも感じるのだろうか。 そして私は何処かで最初の一本が、まだ密かに咲いてる夢を見る。 美しくとも受粉で繋げぬ定めでも、また桜花は咲き刹那に散る。

          桜花(さくらばな)

          記憶

          人生とは生きた長さでは無く 他者に尽くした時間 その長さで憶いは継がれる

          春来

          春来てみれば身に宿る 冬の寒さと長い夜 辛さを糧に換える力が

          大事なもの

          大切な物は、見えているのに見ていない 家族の絆、この大地。

          百鬼夜行

          百鬼夜行とは、心の邪が徘徊する事なり 今も国連安保理で、蠢いています。

          最期のひと

          死は恐怖では無く、人生の最後に出会う客である それは不意にやって来て、ぽんと背中を押してくる。

          千年の涙

          千年昔の人々も、戦を嘆いた筈なのに 千年後の我々は、他国の戦を眺めやる

          鏡の中に

          鏡に映るこの顔は、今まで生きてきた証 歪みは無いか、眼は澄んでるか。

          波の彼方に

          夜空に瞬く星たちが、我の頬を照らしている。 金城の赤木はそこに居て、明日の安寧を語っている。 僕たちの暮らしは素朴でも、海は宝で満ちている。 その岸に見える我が家には、家族が笑顔で待っている。 だから必ず忘れない、今日の感謝を忘れない。 雲の彼方の今帰仁(ナキジン)の、遥か古代の王たちは、夢見る力を持っていた。 中夏の人と日の本の人、それを紡ぐ城(グスク)には、穏やかな陽が射していた。 今は帰らぬ人びとの、静かな想いが沈む場所。 傍らで祈りを奉ずる老婦が、静かにそれを伝えて

          アジアの果て

          夕日が今、落ちて行く 茜の色、雲の峰 谷に昇る営みの煙 家族は皆火を囲み、男は今日の獲物を語る 石のナイフに木の器、土の鍋から湯気かほる 暗闇に響く狼のこえが、歩き始めた種の歴史を摘む 決して騒がず決して慌てず、静かな夜が流れてゆく 人に頼らず人を見捨てず、穏やかな村が流れてゆく 2万年の後、この国に 私達は今、真っ直ぐな目で歩いていますか。 大陸の果て、長い夜が終り わたつみの谷が、朝をむかえる 温かな雨が、降り続く いかづちの音、けむる緑 太古の河川、豊かの水 東

          アジアの果て