アジアの果て

夕日が今、落ちて行く
茜の色、雲の峰
谷に昇る営みの煙
家族は皆火を囲み、男は今日の獲物を語る

石のナイフに木の器、土の鍋から湯気かほる
暗闇に響く狼のこえが、歩き始めた種の歴史を摘む
決して騒がず決して慌てず、静かな夜が流れてゆく
人に頼らず人を見捨てず、穏やかな村が流れてゆく

2万年の後、この国に
私達は今、真っ直ぐな目で歩いていますか。
大陸の果て、長い夜が終り
わたつみの谷が、朝をむかえる


温かな雨が、降り続く
いかづちの音、けむる緑
太古の河川、豊かの水
東へ行く、民族の旅

折り続ける老人のこえ、大地を治め火を治め
獲物を分つ心を分かつ、恵を求め森を行く
決して急がず決して止まらず、静かな民が流れてゆく
人に求めず人を忘れず、穏やかな時が流れてゆく

2万年の後、この国に
私達は今、静かな瞳持っていますか。
雨上がりの谷、南の風
村人は目覚め、営みを始め

大陸の果て、煙が昇る
まほろばの国が、朝をむかえる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?