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#3ショートショートらしきもの「タイマン」

「暇だなー。」


「暇ですね。」


「こんだけ人間が外にいないって何年ぶり?」


「うーん。私が生まれてからはないですね。」


「あ。今日やっと1人目の人間だよ。もうオレだいぶ低くなっちゃったよ。」


「あそこに立ってる男性、5月なのにコート着てますね。最近、気温の差が激しいからですかね。」


「は?お前オレに喧嘩売ってんのかよ。」


「いやいや、別にそういうわけではないんです。ただ、この時期にしては寒い日が多いんじゃないのかなとおもっただけですから。」


「オレが仕事してねぇって言いたいんだろ。分かった。オレとタイマンしろ。オレがどんだけ仕事できるか見せてやるからな。」


「どうしてそうなるんですか?喧嘩なんてする気ないですよ。」


「あそこにいる男のコートをどっちが早く脱がせるか勝負だ。負けた方は一生勝った方の下につく。」


「その勝負知ってますよ。昔おじいちゃんから聞きました。私に勝ち目ないですよね?」


「お前から喧嘩売ってきたんだろ。」


「喧嘩は売ってません。しかも私が勝っても、自ら貴方より上に行くことなんてできませんから。不公平です。」


「そういう意味じゃねぇんだよ。屁理屈言ってねぇで早くやれよ。お前先行でいいから。」


「はぁ。なんでこの方はいつもこうなんでしょうか。」


(フーーーーーッッッ)




「うわ。急に風邪強くなってきたな。良かった。コート着てきて。」


「きゃっ!」


「おい真里。なんでお前そんな短いスカート履いてきたんだよ。」


「え〜。だって久しぶりのデートだし、昼間あったかかったからコレで大丈夫だと思ったんだもん。」


「ちゃんと天気予報見ないとダメだろ。ほらこのコート貸してやるから。」


「ありがと。」



〜おわり〜



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