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漁業の歴史といまを知る。学びを通して地域と繋がる漁業体験

シテコベでは、生産者と一緒に野菜を収穫する農業体験をはじめ、市場・漁船見学や魚をさばく漁業体験など、季節に応じた三浦半島の楽しみ方をプロデュースしています。

体験には、地域の資源を活用した個人向け企画から団体向けにオーダーメイドした企画まで、さまざまなコンテンツがあるのが魅力のひとつです。このの記事では、6月23日に実施した、市場・漁船見学 & 地域の人と一緒におこなった魚さばき体験の様子を紹介します。

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漁師から学ぶ、漁業の現状

今回は、浄楽寺・副住職の土川さん、民泊の受け入れをおこなう横須賀西海岸体験たび推進協議会の有志の皆さんとのコラボ企画!

浄楽寺・副住職 土川さん

日本語学校の学生向けにオーダーメイドした、日本の暮らしを学ぶ体験プログラムとして、市場・漁船見学、「食から見る日本人の生活」の講話、地域のみなさんと一緒にとれたての魚をさばく漁業体験を開催しました。

都内の日本語学校に通う学生のみなさん

最初の体験拠点となったのは、神奈川県でも屈指の水揚げ高を誇る長井漁港。全国的にも若い漁師がたくさんいる港で活動する、白鷹丸(はくようまる)の仲地さんに市場と漁船の案内をしてもらいます。

▼白鷹丸のSNSはこちら

24歳の頃から漁師を始めて今年で8年目を迎える仲地さんは、もともと海や魚をとるのが好きで、大阪から神奈川に移住して漁師になったバックグラウンドがありました。夏の時期になると素潜り漁をして魚介をとったり、船釣りをして市場に魚を運んでいます。

白鷹丸・仲地さん

そんな仲地さんと一緒にまずは市場を見学していきます!セリが終わった市場を回りながら、漁師の仕事や市場からどのように魚が運ばれていくのかを学んでいきました。

僕らは7時半までに市場へ魚を持ってきます。漁師がとった魚は仲買人や業者が購入して、東京や地方へと運ばれます。飲食店によっては、今日とれた魚をその日のディナーに出す場合もあるので、朝早く持って来る必要があるんですね。みなさんが普段食べている魚の出どころの一つが、長井漁港であることを覚えてもらえたらと思います。

市場の様子。漁師の仕事について学びながら知識を深めていきました

次は普段漁に出ている漁船の見学へ。仲地さんが漁師になるまでの過程や漁の仕方など、漁業についての大変さも教えてくれました。

ご厚意でとれたてのサザエをいただきました

今朝は素潜り漁でサザエをとってきました。僕の場合は深く潜ることが多いので腰に6.5kgの鉛を巻いて潜ります。魚をとる際は、お腹の真ん中を突いてしまうと値段がつかなくなってしまうので、モリで脊髄を突いて即死させるのですが、これが結構難しいです。

素潜り漁での魚のとり方を説明してくれる仲地さん

近年では地球温暖化の影響で漁獲量も減っていることに触れ、漁業の現状も語ってくれました。

磯の水質が変化することによって海藻が枯れてしまう「磯焼け」の影響で、年々海藻や植物が少なくなり、魚介が減っているんですね。なので、磯焼けを防ぐために海の中に海藻のタネをまいたり、魚の漁獲禁止エリアをつくったりして海の魚を守っています。

また、この地域ではウニの大量発生によって地面が削られ、岩の質が変わって海藻がつきにくくなってしまう現象が発生していました。それを解決するための施策として、農家から廃棄する野菜をもらい、ウニに食べさせて出荷する試みを始めました。三浦半島の名産であるキャベツを餌にして養殖に成功した「キャベツウニ」は新たなビジネスとしても注目されています。

学生から仲地さんに「漁師をやっていて危ない目に遭ったことはありますか?」「いつから漁師をしていますか?」など積極的に質問をする場面もあり、日本の漁業について学んでいきました。

普段の生活では耳にすることのない漁業の現状を漁師から直接聞くことで、ジブンゴト化ができる。地域や漁業のことを身近に感じる体験が、SDGsや食育について考えるきっかけになっていきます。

日本の漁業の歴史と食文化

漁業体験の後は近くの古民家に場所を移し、土川さんから日本の漁業の歴史と食文化についての講話がおこなわれました。

日本人が魚を食べ始めたのは縄文時代に遡ります。江戸時代までは自分たちが食べるために魚をとっていたものの、江戸時代以降は仕事として魚をとって生活する人が出てきました。その頃から仲買人が存在し、漁村ができたと言われています。

日本の漁業の歴史について真剣に学んでいく学生たち。続いて、縁起物としての魚介類(ハレとケ)について話してくれました。

就職祝いや入学祝いなどの食事で食べるブリは出世魚と言われ、成長度合いによって名前が変わっていきます。名前が変わりどんどん大きくなっていく魚ということで、ブリを食べることで自分たちも大きくなっていくことができると、日本人は考えています。

特別なお祝い事をする「ハレ」の日と、日常という意味を持つ「ケ」の日。昔から魚の食文化が隣接してきた日本人の食習慣や歴史に触れながら、新たな学びを深めていきました。

朝とれたてのイナダをさばく体験

日本の漁業の歴史と食文化について学んだ後は、「横須賀西海岸体験たび推進協議会」のみなさんと一緒にとれたての魚をさばいていきます。

横須賀西海岸体験たび推進協議会のみなさん

「横須賀西海岸体験たび推進協議会」では、中学生や高校生の修学旅行、海外の方を受け入れる民泊をおこなっており、当日は有志の皆さんが美味しいご飯を食べてもらいたいと、午前中から料理の準備を進めてくれました。

とれたてのアジをさばき、アジフライをつくっている様子

さばき方を教えてもらいながら、朝とれたばかりのイナダをさばいていきます!初めての魚さばきに挑戦する方や慣れた手つきでササっとさばく学生も。地域の方ともコミュニケーションを取りながら楽しむ姿が見られました。

一方で、仲地さんからいただいたサザエの身を取り出す作業も体験。初めての経験に最初は戸惑いながらも、気づけばみんな夢中になって進めていました。

魚をさばく横ではキッチンからいい香りが漂います。さばいたイナダは刺身にしたり、煮付けをしてくれたり。

食卓には炊き込みご飯、お味噌汁、刺身、煮付け、アジフライやサザエが並びます。美味しい料理を食べる時間は自然と笑顔になり、地域の人も交えながら、談笑を楽しみました。

地域での体験や交流が、また地域に足を運びたくなるきっかけになる

市場・漁船見学から講話や魚さばきまで、普段とは違った非日常な環境で過ごした学生たちからは、次のような声が上がりました。

・今日はいろんなことを知ることができて、特別な時間になりました。
・初めて魚をさばいたけど面白かったし、料理はめっちゃ美味しかったです。
・今日の体験は新鮮でした。漁師の生活を学ぶことができて楽しかったし、もう少し勉強したいと思いました。
・親切に接してくれて感謝の気持ちであふれています。特別な体験ができたことが嬉しかったです。

地域の人や生産者さんの想いに触れながら、三浦半島でしか味わえない体験を過ごす時間は、特別な思い出になったのではないでしょうか。

体験や地域の人との出会いを通して、日常がほんの少しだけ変わって見える。スーパーで魚を見たとき、魚料理を食べたときに今日の体験を思い出す。そんな日常が豊かになる体験もシテコベでは企画していきます。

シテコベでは季節に応じた三浦半島の楽しみ方を企画しています

今後もシテコベではさまざまな体験プログラムを通して、地域の魅力の発掘や新たな学びを深める活動をおこなっていきます。日常生活の慌ただしい時間から少し離れて、自然と向き合いながら記憶に残る体験をしてみませんか?

日時や人数、ご希望の体験内容など、要望に合わせた団体向けのオーダーメイド体験もコーディネートいたします! プログラムの詳細やお問い合わせはHPをチェックしてみてください。

現在シテコベでは、体験の企画・運営をおこなうコーディネーターも募集中です!

興味のある方は下記までお問い合わせください。
お問い合わせ先:info@shitekobe.com

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