#19【ガンの原因は】

最初は、実は胃潰瘍だった。
　
　
夏頃からずーっと
胃が痛い、胃が痛いと言っていて
あまりにひどいので病院に行ったら
胃潰瘍だと言われて、薬をもらった。
　
　
その胃潰瘍が、ガンに変異したらしい。
(詳しいことはわからないが、
すごく簡単に説明するとそうらしい)
　
　
そしてその胃潰瘍の原因がストレスで
そのストレスの原因が、叔母一家なのだ。
　
　
祖母は、それまでは、可愛い娘と孫のため
ある程度目をつぶりながら
付かず離れずの距離で見守っていた。
　
　
と行っても、お互いの家までは
徒歩10分かからない、
同じ校区内にあるので、必然的に
交流はあったのだ。
　
　
その頃18になっていた従姉妹は、
身内の贔屓目に見ても
可愛く、グラマラスに成長していた。
　
　
その従姉妹に叔母の再婚相手が
性的ないたずらをしていると、
それを叔母も黙認していると
聞いた祖母が、ブチギレたのだ。
　
　
大人として当たり前の行為である。
　
　
従姉妹を守るために、行動した。
　
　
でも、心の傷は大きかったようで
いやだ、帰りたくない、とは言うものの
詳細を話すまでには至らなかった。
　
　
話したら弟妹がまた、バラバラにされると言う
気持ちも大きかったのだと思う。
責任感の強い真面目な子だったから。
　
　
従姉妹も、逃げたい気持ちが強かったようで
よく祖母の家に泊まったり
実父の家に行ったり、友人の家に泊まったりで、
再婚相手の居る家には戻らなくなっていた。
　
　
複数の家を移動し続けたのは
１つの家に留まり続けるのは
危険と判断したからだ。
　
　
というのも、
従姉妹が家に帰っていない日は
祖母の家、実父の家の周りを
深夜ずーっと徘徊しているのだ。
　
　
再婚相手と、叔母と、弟妹で。
家が近いものだから、
４人で手分けして、
交代で仮眠を取りながら
そんなことをしていた。
　
　
警察を呼ぶにも呼べなかった。
何をして居るのか、脅されているかもしれない
小学生の子供まで動員してやっているからだ。
　
　
その頃には、連絡を取っていなかった
私のスマホにも、連絡が来るようになっていた。
　
　
叔母から、いきなり
「ちなつー！久々やねー！元気？
ところで、サキ(従姉妹)はそっち行ってない？
あいかわらず変な男に捕まってばっかやから
行ってたら連絡ちょうだいねー！」
　
　
と言うような連絡だ。
　
　
いや、変な男に捕まって
子供にいやな思いさせてんのお前やろ！！！
って思ったけど言う間も無く切られてしまった。
　
　
そして、そうこうしている間に
祖母の胃潰瘍がひどくなり
一度入院騒ぎになったのだ。
　
　
これで、後ろ盾がなくなってしまった従姉妹は
強制的に家に送還され
叔母一家とも連絡が取れなくなった。
　
　
祖母が、家まで行ったとしても、
長男と次女が出てきて
汚い言葉を浴びせかける。
　
　
学校の行き帰りまで監視されていた
従姉妹は、もう祖母の家に行くことも、
どこに逃げることもできなくなっていた。
　
　
祖母は、落ち込んだ。
だから、悪化したのでは、
だから、がんになったのでは、
原因は、、、
　
　
恨んでも恨みきれないが
それが起こった事実だけは覆せない。
　
　
そんな中、秋になり学校が始まった頃
祖母の家に従姉妹と同じクラスの
女の子が訪ねてきた。
　
　
従姉妹からの手紙を持って。
　
　
そこには
自分が諦めたら、
妹も弟も手をあげられることがない
もう家庭が壊れるところは見たくない
だから、私は早く稼いで
早く家を出て、弟妹を家から出す。

だから、それまで待っていてくれ
私が家を出たら、それまでのことを
ちゃんとお礼したい。
そう書いてあったそうだ。
　
　
責任感の強い、我慢強すぎる、
サキらしい手紙だったそうだ。
　
　
それを聞いていた私は、
かろうじてサキとFacebookで繋がっていた
冬になって祖母の胃ガンが発覚して
連絡しないわけにはいかなかった。
　
　
「サキ、実はおばあちゃん胃ガンやねんて。
もう３ヶ月持たへんかもって言われてる。
もうすぐうちんちに療養にくるから、
大阪からもでる。
どうにもできひんかもしれんけど、
誰かに手紙を託せるなら、
うちの住所教えておくから、手紙送って」
　
　
手紙が送られて来ることはなかった。
　
　
送ることができなかったと、後から聞いた。
　
　
祖母のガンの原因は
最愛の娘と、最愛の孫。
　
　
その関係を崩した男との確執からだ。
　
　
その事実と、お金の話で
私は、頭がいっぱいだった。