しそ

都内20代会社員です。

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最近の記事

連続な街、不連続な街

オープンワールドのゲームは、大概期待を下回る。想像していた自由な世界とは真逆の決められたストーリーと道のり、突如出現する見えない壁、機械のように反復的に行動する人々。制作側の苦労は想像するに余りあるものの、制作の現実透けて見えると少しガッカリしてしまう。 翻って、東京は面白いなと思う。 東京に暮らし始めて一年と少しが経つ。あれほど恐れおののいていた”東京の電車”にも一丁前に慣れ、何不自由なく東京ライフを満喫している。 ふと、『ゲームの中で暮らしているみたいだなあ』と思う

    • 他者の文脈に思いを馳せること

      最寄りの地下鉄駅の入口の近くに、「信号無視をしてもよい」という暗黙の了解が地域住民に通底している横断歩道がある。狭い道を渡すその横断歩道を通る車は滅多にいないが、稀に通る車は赤信号にも関わらず横断歩道を渡る歩行者にクラクションを鳴り響かせる。最早信号がない方が安全ではとすら思う。 今朝の出勤時、駅に向かう途中、いつも通りほとんどの人が赤信号を渡る中で、律儀に青信号に変わるのを待ち続ける人がいた。スーツを纏っていたのでおそらくサラリーマンだろう。急いでいたので横を颯爽と通り抜

      • 東京タワー

        「東京タワーに行こうよ」 土曜夜の六本木、真っ直ぐのびた道路の延長線上の東京タワーを見て彼女は言った。夕方くらいから飲み始め、二軒目を出た矢先のことだ。20時と早い時間ではあったが、前日の夜から彼女と時間を共にし、何となく帰宅する空気感になっていた。そんな中、遠くに東京タワーが見えた。 暖かな光を湛えてそびえ立つかつて日本一の高さを誇ったその鉄塔は、今や自分より高く林立するビル群に囲まれながら、なおも圧倒的な存在感と魅力を纏っている。 10分ほど歩き、東京タワーの下に着

        • 淋しさ

          前日の夜から過ごした恋人との時間を後にし、自宅への帰路に着いた。元々あった翌日の予定もなくなったから恋人の家にもう一泊しても良かったけれど、何となく一人の時間も充実させたくて別れを告げた。 にもかかわらず、東京メトロ東西線のホームで無性に感じた淋しさに、際限なく人の温もりを欲した。 もう最寄りの駅まで一本で着いてしまう。車両とホームの溝をまたいだ瞬間独りの夜が確定しまうのが少し怖くなって、無意味に電車を一本逃した。うじうじしていて情けなく思いはした。

        連続な街、不連続な街

          輪ゴム

          江國香織さんが、『とるにたらないものもの』というエッセイの中で輪ゴムについて語っていた。思い返してみると、自分を形作る様々な記憶の側に輪ゴムの存在があったような気がする。主役になることもあれば、お遊戯会の木の役さながらに目立たずとも確かにその場を彩る役をこなすこともあった。 カードのデッキをまとめる輪ゴム、なんの意味もなく腕にまきつけて遊んだ輪ゴム、頑張って練習したマジックの道具となった輪ゴムなど、輪ゴムの様々な一面が思い出を形作っているが、特に印象的なのは「お弁当を束ねる

          隅田川から見た「東京」

          隅田川を見るのが好きで、よく隅田川テラスに行く。特に日が傾きかけている時間帯に、午後4時くらいに自転車でふらっと行くことが多い。川を進む船や、対岸に林立するビル群、ビルの隙間から差し込む斜陽の光に、その光を乱反射する揺らめく水面。そのすべての景色になんとなく安らぎを覚えるし、自分を客観視できるようにも思える。都市の喧騒とは無縁だが対岸には都市が見え、東京自体を外から眺めることで「東京で生活を営む自分」も外から見ているような気分になる。 今日も、隅田川を見に行った。カフェで作

          隅田川から見た「東京」