【解説】積分せずに時間短縮|東京大学 文系数学大問4(2018年)
こんにちは。数学講師ごとうです。
今日はちょっとした「時短テクニック」と「面積に対する面白い考え方」を紹介できればと思い、2018年の東京大学 文系数学 大問4の解説をします。
問題
放物線y=x2のうち、−1≦x≦1をみたす部分をCとする。座標平面上の原点Oと点A(1,0)を考える。点PがCの上を動き、点Rが線分OA上を動くとき
をみたす点Sが動く領域を座標平面上に図示し、その面積を求めよ。
解答
点Sが動く領域を図示すると、次のようになります。
この領域の面積を求めるとき、ちょっとした面白い話があります。普通に頑張って積分しても答えは出せるのですが、けっこう面倒です・・・。
そこで、次のように考えます。
この3つの図形を左からA、B、Cと呼ぶこととします。
このうちAとBの横幅の長さは1で一定です。このことを利用すると、答えがパッと出せ、時間短縮テクニックになります。
積分しなくてもいい
唐突ですが、平行四辺形の求め方は3つあります。3つとも、列挙できますか?
答えはこの3つです。
①平行四辺形を2つの三角形とみる。
②平行四辺形のカドを切り離して反対側にくっつけて長方形にする。
③平行四辺形を多数の短冊の集まりとみたうえで、それを長方形の形に配置する。
このうち、最後の方法を東大の問題に適用してみます。
AとBの横幅の長さは1で一定であるため、平行四辺形の面積の求め方が使えるのです。
イメージするのであれば、図Aと図Bの左側に壁がくるようにして、右側から左方向へ押してみてください。
AもBも横の長さが1で高さが2の長方形になります。
(Cは普通に積分するしか手はありませんが・・。)
面積に対するちょっとした理解の違いが、計算量の大きな違いを生む面白い1問です。この内容自体は人によっては小学校で習っているかもしれませんが、「まさかこのようなタイミングで使えるとは・・!」と思わされる問題です。
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■自己紹介
■国公立大学の数学問題を、思考法を含めて解説しています。
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