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【解説】思考力が問われる1問。2021年神戸大学前期/理系数学大問5

こんにちは。数学講師ごとうです。

国公立大学、前期二次試験を受けた皆様、(後期試験もまだありますが)ひとまずお疲れさまでした。

今回の記事では、最新の国公立二次試験のなかから、神戸大学の理系数学の大問5の解説をしたいと思います。この問題は「今何を自分がしているのか?」の思考力が問われる、面白い1問であると感じます。(トップの写真はお借りしたものですが、神戸の桜にしました。みんな、受かってますように、の祈りを込めて。)

問題

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解説

では、順番に(1)から解いていってみましょう。

点Pと原点Oとの距離は、いずれも座標が既知であるため、三平方の定理で簡単に求められます。

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今回は距離を求めるだけなので答えは1でオッケーです。このことから、点Pは原点を中心とする半径が1の円上に存在することが分かりますね。

ただし、この円全体を点Pが動くかどうかは現時点で分からないことに注意してください。

続いて、(2)です。

v→を具体的に計算してみると、下記になります。

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ここで、ちょっとした検算をしておきましょう。

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と計算できます。

円運動中の物質は,円の中心からの位置ベクトルと速度ベクトルが必ず直交しますので、この結果は必然であるのが分かりますね。

このように、数学や理科では様々な検算方法を習得しておくことによって模範解答を見ることができない入試本番の試験中であっても安心感を得ることができます。

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では、最後の(3)です。

●t=0 のときとt=π のときの点P の位置を求めてみると

それぞれ(1,0),(−1, 0) になること

●0 <t < π のときには常にy > 0 となること

加えて、

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以上のことから、点Pが(1, 0) から(−1, 0) まで逆走せずに反時計回りに移動することが分かります。

さらに、

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と変形することができます。速度が位置の時間変化率を表すこと、そして点Pが(1, 0) から(−1, 0) まで逆走せずに反時計回りに移動することを思い出せば

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即ちπを表すことが分かります。よって求める答えは3/πとなります。

この(3) は、それまでの計算で「今、自分が何をしているのか」を常に意識していないと簡単に解くことはできません。そのような思考が試されるというのが中々面白いと思い、今回記事に取り上げさせていただきました。

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■自己紹介

■国公立大学の数学問題を、思考法を含めて解説しています。


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