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【コラム】組み合わせの計算nCrで数学オリンピックに挑戦(Part2)

こんにちは。当社にも新入社員が入ってきました。新しい季節を感じる時期ですね。

今回も引き続き、組み合わせ記号nCrについての問題をみていきましょう。今までnCrを単なる数式 n!/(n-r)!r!であると認識していた人も、前回のPart1の内容にて記号の意味に触れることができたのではないでしょうか?

今回は問題の難易度を上げて、2014年数学オリンピック予選問題に挑戦してみましょう。

問題

a+b+c=5をみたす非負整数(a,b,c)すべてについて

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を足し合わせたものを計算せよ。ただし、解答は演算子を用いず、数値で答えること。

(筆者注:以下noteの形式上、上記の数式を17Ca・17Cb・17Ccと表記します。)

解説

まず、問題の意味は把握できたでしょうか?

a+b+c=5を満たす非負整数の組み合わせ(a,b,c)は全部で7!/5!2!通りあるのですが、その全ての組を17Ca・17Cb・17Ccに代入し、全て足し合わせて得られる値を計算せよ、ということです。

具体的に(a,b,c)=(5,0,0)、(0,5,0)、(0,0,5)、(4,1,0)、(4,0,1)・・・と全てを代入していくのはあまりにも大変です。

ここはやはり、数式の意味を考えることでスパっと解く方法を考えてみましょう!

まず初めに、1行あたり17個の丸を並べたものを、3行分タテに並べて書いてみましょう。そして、1行目から3行目にかけてそれぞれの行をAグループ、Bグループ、Cグループと名付けます。

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このように書いてみると、17Ca・17Cb・17Ccが表す意味を次のように捉えても良いのがわかりますね。

Aグループからa個の丸を選び、さらにBグループからb個の丸を選び、最後にCグループから選ぶ方法の数

さらに、a+b+c=5を満たす非負整数(a,b,c)全ての組に対しての和をとるということは、次のように捉えることが可能です。

Aグループ、Bグループ、Cグループから自由に丸を選んで、その合計が5個になる方法の数

これはつまり、グループの違いを一切気にすることなく、全51個の丸から5個の丸を選ぶ方法の数だということです。もう分かりましたね!

答えは、51C5を計算した値、2349060になります。ちなみに元ネタである数学オリンピック予選では演算子を仕様した解答が問題文にあるように禁止されていたため、51C5と答えるとバツになりました。ここまで問題の仕掛けを見抜いたのに最後に計算ミスをしてしまったりすれば、ちょっと悲しいですね・・・。

伝えたいこと

ここまで読んでくださった方々(特に受験生の方)に是非伝えておきたいのは、前回と今回で紹介したように数式の意味を考えることが重要であるというのは勿論なのですが、問題を分かりやすく言い換えることの大切さを強く意識して欲しいということです。これは数学に限ったことではなく、理科全科目に加え、国語などの文系科目においても重要なことだと言えるでしょう。

複雑な文章のもつ意味を一切損ねることなく(さらに、余計な不純物を加えることもなく)分かりやすく言い換える技術を磨いていけば、物難しく見える問題でも実は凄く簡単なことしか聞いてなかったんだな、と思わされることが多々あります。特に、東大・京大の問題はその傾向があるように感じます。是非意識してみてください!

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■自己紹介

■国公立大学の数学問題を、思考法を含めて解説しています。

■受験勉強に役立つ、数学コラムを投稿しています。


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