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【解説】意味不明な問題文への抗体を作っていこう!/東京大学 1987年 理系数学大問5

こんにちは!最近は寒い日が続いていますが、僕は暑がりなのでちょうどいいなと思ったりしています。皆さんは季節の変わり目なので、体調管理にはくれぐれもご注意ください。

今日は僕が興味深いと昔から思っている問題の解説をしたいと思います。皆さんにはぜひ「意味不明な問題文への抗体」を作っていってほしいとも思います。

ときに、数学の試験では「そもそもの問題文が何を言ってるか分からない・・」となるときがあるでしょう。そんなときでも「核となる部分がどこか?」「問題作成者は何を問いたいのか?」というのを考えることができるようになってください。そのための訓練も兼ねて、この問題の解説も読んでいってください。

問題

nを2 以上の自然数とする。x1≧ x2≧・・・≧xnおよびy1≧y2≧ ・・・≧ ynを満足する数列x1,x2,・・・ , xnおよびy1,y2,・・・,yn が与えられている。

y1,y2,・・・,yn を並べかえて得られるどのような数列z1,z2,・・・,znに対しても

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が成り立つことを証明せよ。

解説

なかなか理解が難しい問題のように感じます。この問題は非常にパズル要素の強い問題で、”核となる考え方”がとても面白いのです。

その”核となる考え方”は次のような感じだと思ってもらえれば問題ありません。

例えば1,2,3という数の並びがあったときに,1×1+2×2+3×3というように,同じ順番のもの同士をかけて和をとったものの方が、1×2+2×3+3×1というように,順序を変えて積をとったものの和よりも大きくなる

もっと一般化していうと

大きいもの同士(と同時に小さいもの同士)の積をとったものの方が大きくなる

聞いてみれば簡単な内容ですが、一見意味不明に見える数学の文章から,このような内容が引き出されてくるのが興味深いですね。こういう経験があると、他の意味不明な問題を見たときにも「この問題は一体何が言いたいのだろう」と考える癖がつくでしょうし,非常に良い問題です。

具体例を用いて実験をしていれば,解法を思いつくことができます。ぜひやってみてください。

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■自己紹介

■国公立大学の数学問題を、思考法を含めて解説しています。

■受験勉強に役立つ、数学コラムを投稿しています。


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