目標管理制度は終わらない。

先日、人事コンサルの営業活動中に、資料の中に目標管理のシート例を使って説明をしていたら、先方の人事部長から「へぇー、まだ目標管理制度(MBO)って使ってるんだー」と半笑いされた。
MBOは、確かにクラシックに感じるかもしれないが、意外と奥が深いように思う。そして日本ではどうも使い方が今一つのような気がする。
一般的に、目標を期初に決めて達成度で5段階評価をして、それをダイレクトに成果評価点とすることが多い。しかし、達成度を高くするために甘い目標を設定するケースが構造的に避けられず、個人的には達成度直結の制度設計はあまりお勧めてしていない(達成度×挑戦度×価値貢献度など一旦切り離すか、参考情報程度にしか使わない、等)。
ただ、戦略ツール或いは組織運営ツールとしてはまだ機能する余地があって、成熟度が高くない組織において「結局何をしたら良いの?」という仕事の割り当てをしないと始まらない場合には、MBOはまだまだ有効だと思う。それに一つの目標を複数人で共有してチーム目標をして一緒に頑張るというのも悪くない使い方だと最近思う(手抜きは別途行動評価などでケアすれば良いかなと)。
もう一つ、「営業は目標が立てやすいがスタッフは・・・」という話になるけれど、定量目標を追ってない部門こそ、ぜひMBOはやるべきだと思う。定性目標で設定されるような目標、それによる成果は、バランストスコアカードの下位二段(組織人材系と業務プロセス系)に繋がり、模倣困難な競争優位性を生むし、属人性から解放された組織の財産として残ると考えるからだ。最近は少し、営業でも本当に定量目標を直接的に負わせることが良いことなのかな、と思う気がしてきた。〇〇という施策を実現or仮説を検証してください、その上で△△円を達成してください、という風にしないと、「数字さえ上げれば良いんでしょ」的なマーケティング要素の薄い営業スタイルでいつまで勝てるのかな、と。白兵戦の強さは大事だと思いますけどね。
OKRも良いんだけど感覚的にはムーンショットを作るところが簡単ではない。トップにかなりセンスが要る気がする。まずベーシックとしてMBOからスタートして、ということでも良いのではないだろうか。少しずつステップアップしてゆく、「戦術的ピリオダイゼーション」的な視点が、ビジネスでも大事だと思う。

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