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[本・レビュー] 勉強大全

学問に王道なし。ただし、効率は考慮すべし!

『勉強大全 ひとりひとりにフィットする1からの勉強法』伊沢拓司著 出版社:KADOKAWA

開成中学・高校、東京大学経済学部を卒業し、現在は東京大学農学部大学院、東京大学クイズ研究会に在籍されている伊沢さん。
 全国高等学校クイズ選手権で、個人としては史上初の2連覇をなしとげ、TBSのクイズ番組「東大王」にて東大王チームとレギュラー出演されています(今年はひょっとしたら所属等が変わられているかもしれません)。

 東大出身であり、クイズ王でもある伊沢さんの勉強のノウハウを学べるとあって、購入してみました。

 読み終えての感想としては、才能もあるんだろうけど、それ以上に努力をされているんだなぁということでした。

 高校生の頃からクイズ王である伊沢さんは、記憶力もよくて常人とはかけはなれているんだろうと思っていましたが、記憶力の良さ云々以上にも、知識獲得のための効率をあげる戦術眼、知識欲、努力がなみはずれているのだと感じました。

 高校生クイズで成績を残すために、時間をクイズにあてていたため、学校内では当初成績はよくなかったとのことです。

 もちろん、そもそもが開成に在学されており、地頭が普通ではないのは明らかです。しかし、勉強もせず、全ての知識を生まれ持ったなんてことはありえません。

 クイズ王で暗記力がよいから、東大に簡単にいける
わけではなく
 クイズ王であれだけクイズの知識をつけておきながら、東大に入るための勉強もしっかり努力する
ところに伊沢さんのすごさがあるんだと思います。

さてそんな伊沢さんの勉強におけるポイントは

学力=勉強時間×勉強効率

です。なんのために勉強するかは人それぞれですが、勉強は手段であって、本来は達成すべき目的が別にあることが一般的でしょう。
勉強は手段である以上、勉強が目的になってはいけません(勉強が趣味であったり、資格取得や大学合格が目的にない人であれば、勉強が目的になっていてもかまわないのはいうまでもありません)。
70階建ての高層ビルがあるとして、最上階まで行くのが目的の場合、通常はエレベーターをさがすのが第一です。
エレベーターに考えがおよばず、階段を使って息も絶え絶えに最上階までのぼっても、目的達成の観点からは誰もほめてくれません。
ましてや最上階にたどりつけず、途中でリタイアになったりしたら、それこそ目もあてられません。

戦略もなく、いたずらに勉強時間だけをかけていても、ゴールは近づいてきません。正しい戦略をもち、そこに時間を費やすことで、ゴールが近づいてくるのです。

達成すべき目標を設定した上で、それを最短、最小の努力で行える勉強法が重要なのです。

伊沢さんは模試の活用、復習の重要性を説いています。復習の重要性については、『人間は忘れる生き物であり、反復によって記憶・知識が定着する』こと、模試の活用については『いくらインプットしても、アウトプットできなければ結果に繋がらない』ことによるでしょう。

教科書の例題等の、基礎をしっかり固めた上で、過去問にあたるべきと述べられています。模試より過去問の希少価値が高いため、模試は基礎が完成できてなくても、受ける事で得られるものは多いとしています。

復習は必ずしも1日で終える必要はありませんが、目的達成のタイムリミットの時までに、確実に解けるように何度も繰り返して知識を定着させることが重要と説かれています。

結局、「学問に王道はなし」ということのようです。

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