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一度もvTuberモデルを作ったことがない超初心者が、独学で一日戦ってみた話。

射幸心と好奇心が強すぎるのは、時に困りものである。

それらは硬い殻を破る原動力にもなるが、時間や労力やお金を必要以上に投資してしまう原因にもなる。
だが、人生にはどうしても「今がその時だ!今しかない!」と突然心に火がつく時が訪れる。

これはそんな瞬間を、GW2日目に迎えてしまった私の奮闘記である。

出会い

数週間前、私は勤めている会社の仕事の関係で講演者を探すべく、ココナラを開いていた。単価数万円から高いものは数十万まで、大変魅力的なスキルと提供者がずらりと並んでいる。その中で、ひときわ私の目を引くものがあった。
「vTuberモデリング」の発注である。
元より昨今のvTuber市場の躍進力に魅せられていたというか、(特に「刀ピークリスマス 2022」のダンスで大バズリした「ピーナッツくん」や英語系配信者の「がうるぐら」さんのファンだったこともあり)vTuberの作成方法について、一度知ってみたいと思っていた私は試しに値段を確認してみる。数万円から高いものは数十万円まで、2D/3Dモデルや「イラスト作成~モデリング」の工数別に、値段が提示されていた。私がここで自然と疑問に思ったのは2つである。

  • 一案件で数万円から数十万円まで、価格帯が幅広く、どうやら価格弾力性がかなりありそうだ。似た動画関連のスキル市場では、YouTubeサムネ作成、編集などは1万円を切るものも多い。数十万まで値段が振れるなんて一体、どれくらい専門性が高くて難しいことなんだろう?

  • イラストやモデリング未経験者は、全く箸にも棒にもかからないのだろうか?


誰もが、一度は考え(憧れ)ないだろうか?

イラストを描いて、動きをつける。一体どれほど難しいのだろうか?
マスターすれば、自分一人でも出来るようになるのではないか?と。
(この考えが、非常に甘いことは実は自分でも分かっていた。常にプロの芸術家・イラストレーターの方々には到底頭が上がらないと思いながらも、曲がりなりにも"Clip Studio"で練習していた時期もあったりと、好奇心に勝つことが出来なかった…)

普段は仕事で疲弊しきった人間に時間が出来ると、時折周りが想像もできない不思議な行動に出るらしい。
「独学で」vTuberのモデルを「ゼロから」どこまで作れるのだろうか?時間は一日。どこまで出来るか、やってみようじゃないか??そう思い立った瞬間から、猛烈なwebサーチが始まり、最終的に今回使用したプラットホーム、"v2studio"に出会うのである。下記に、それまでの過程をまとめた。

調べた過程


①「独学でvTuberモデリングを作る方法」を検索。
②早速、スマホやwebカメラを起動するだけの無料でvTuberとして配信が出来るサービスを知る。
③上記は大量にあるので、外注するつもり&時間が無いなら、「これで今日から私もvTuber!!」で終了である。
"vRoid"という好みのパーツを組み合わせてオリジナルの3D vTuberモデルが作れるサービスがあることを知る。(赤羽根衣装店さんの動画が分かりやすかった)
⑤時短の為にまずは無料&手間のかからないサービスを活用したら良いんじゃないか…? 普通ならそう思うだろう。
⑥結果、活用はしなかった。

理由は前述の通りである。だってやっぱり何事も、まずは自分で作ってみたいじゃん。オリジナリティとリアリティがあると、ワクワクするじゃないですか。(半分以上は私の意地である。分かっている)

そこで私は更に「独学」をキーワードにリサーチを進め、"Live 2D"という、「自作のイラストを読み込み」「モデリングを自分で行い」「無料の配信プラットホームにアップロードが出来る」サービスを知ってしまったのである。
違うアプリで描いたイラストの読み込みに対応しているらしいと知り、言わずと知れたイラストソフト"ClipStudio"(クリスタ)の使用歴が約1年、イラストは過去"Palmie"(パルミー)(月額8,400円(5月2日現在)でClipStudio上でのイラスト講座が学び放題の神サービス)等で少しずつ学習していた…。そんな程度だったのに、何故か「私にも出来るじゃん!」と思ってしまったのである。(過去描いた絵は一応下に貼っておきますね。)

千里の道も一歩からと、今回使用予定のLive 2Dについて、ざっとリサーチを入れてみた。

  • 公式サイト&ダウンロード:https://www.live2d.com/en/

  • 価格:FREE版だと42日間無料。制約は一部あるが大体の動きは付けられる。

  • どんなモデルが作れるのか:ズバリ「立体的な2Dモデル」。導入動画として、ディープブリザードさんや、きつれもさんのを参考にした。勿論、初めは専門用語や操作方法など「?」だらけである。

  • 所要時間:初心者の場合一通り覚えるまで3日間が目安

「3日間」。

私が自分に課した時間は、「1日」でどこまで出来るかやってみよう、である。脳内に松岡修造の声を響かせていた私は、怯むことなく早速取り組んで見た。(これから始める方に結果3日間ほど目安として必要だったかは後ほど)下記がLive 2Dを使用するまでの下準備と、使用してからの工程である。

①Clip Studioでイラストを作成


これは普段のイラスト作成と変わらない。"Photoshop"でも作成可能。一点だけ普段と違うのが、後々必要となる「パーツ分け」(イラストをレイヤー毎分解して、可動部分を明確にする作業)だが今回は特に意識せずに自由に描いてみる。見ての通りフォルダ毎にレイヤーが重なり、特に何もいじらなかった。ただ、初めての場合、装飾等を多くするとその分動きをつける必要が出てくると聞いたので、シンプルなモデルを作成してみる。デザイン決めから完成までで、所要時間は3時間程度だった。

②パーツ分け


ここからが、初となる概念の「パーツ分け」であるが、有り難いことにいくつか「パーツ分け」について説明をしてくれている動画は多くあり、サイトにも画像での丁寧な解説がいくつも見つかった。覚えたてホヤホヤの知識なので誤解を恐れずにいうと、「パーツ分け」とは、Live 2Dに読み込ませるイラストの表情や体や服装の部位を動きをつけたい部分を切り分けることだ。私は何はともあれ新しい概念自体に怖気づいていたので、半目で下記の非常に分かりやすい動画を視聴させて頂いた。

・きつれもさん

・ひものさん

いや、上手すぎだろ…(T_T)
コメント欄には、「すごく分かりやすかった」の嵐。確かに「プロセス」がはっきり見え、動画を止めれば分けられたパーツが一目瞭然だ。だが、ここで初心者特有の問題が発生してしまう。パーツ分けの必要性と出力された状態については理解ができたが、「パーツ分けの方法」(つまり、操作方法)が一度もその概念に触れたことの無い私には、さっぱり分からないのである。

そこで私は方法を転換し、Webサイトを調べることにする。参考にしたのは、主にこちらの方々のサイトである。

・ツッピーさん

・さらえみさん

・Clip Studio公式

やっぱり、初心者すぎるのか、具体的な切り出し方法は特に理解ができずにここでかなり焦りを感じてしまう。一旦深呼吸をし、立ち絵は、基本的にパーツを得には意識せず描かれた線のつながりであることを思い出し、まずはしっかりと体の部位と衣装を「投げ縄ツール」で切り取ってみる。(下記は「口」を追加したレイヤーが例になっているが、切り出しは基本完成版のコピペなので、どこのレイヤーでも良いはず。)こんなところで躓くのは、初心者のご愛嬌ということでお許しを。

これをレイヤーが重なっているままコピペし、名前を付けて「腕」フォルダとして保存してみる。
その上で、上記サムネからも分かる通り、どうも「分けたパーツを並べた一枚絵」が必要らしいとのこと。その上で、FREE版では、一枚の画素数が上半身の高さ2048px+下半身の高さ2048pxが上限らしいということなので、(ちなみに私が使用した際は便宜上ピクセル数を上げたが、どうやら問題がなかった (2023年5月1日時点)というわけで、見様見真似でコピペを繰り返し、ドラッグアンドドロップを繰り返しながら一枚にまとめてゆく。動画から、動いた時に隙間ができない為に多めに塗っておくといいらしいので、
首の影などはベタ塗りしている。この時、白目と瞳を分けなかったのは、大きな命取りになってしまった…(T_T)

ここまでで合計6時間。夜が明けそうだ。

さて、先程の各パーツに切り取られたデータの入ったファイル郡と、上記の一枚絵を、どうも「レイヤーを統合」した後に(レイヤー統合前とは別名で編集のため保存)STD形式として保存する必要があるというので、Clip Studio上では、「photoshopドキュメント」として保存する。なんだか解説書みたいになってきたが、あくまでも「独学で学んでいく手順」として参考になれば大変幸いある…。やっと、ここでLive 2Dがインストール出来る。

③Live 2Dをインストール&起動



Live 2Dのサイトへ行き Windows Free版をダウンロード。起動、動作共に問題なく、イラストの読み込みに成功。パーツは左の「パーツ」として分解して表示出来るようになっており、「デフォーマ」とは後々動きをつける際に必要となるウィンドウらしい。30分~1時間くらい色々と触って見て、右のイラストは、どうも、2枚目の画像で示した囲まれたあみあみの三角の模型のように、「メッシュ」等という構造で分析されているらしく、そこに動きを付けていくらしいことなどを学ぶ。(が、何も動くようには見えず、異世界に一人放り込まれた状態)ここから、私はほぼほとんどの工程を、下記の動画で学びながら、進めていった。

一応完成版なので、動きなどはすでに付けた状態。切り取った要素を増やしすぎ、読み込まれたパーツにまとまりがないことがお分かりだろう…(T_T)

・Live 2D公式動画(全6回のシリーズもの。結構分かりやすい)

基本的に「パラメータ」なるもので、動作の開始と終了に動きをつけていくのだが、このモーション付けで活躍するのが切り分けたパーツだったりする。(ここまで見様見真似でやってみて、寝食も忘れ4時間が過ぎていた…夏休みの自由研究でもこんなに没頭したことないのに…)

ここからは、ひたすら自分との戦いである。本物の、自分との戦いである。
気軽に疑問点を聞けるフォーラムがない中、ひたすら動きを付けて戻してを繰り返す…。お手本との出来の乖離に悲鳴をあげそうになりながら…。

最初の関門「まばたき」の作り方(この技術が意外と面白く、一度で良いからその方法について、下記の動画を覗いてみることをお勧めする)や「髪揺れ」「腕振り」なども一通りひいひい言いながらもやってみて、なんとか、できたんじゃないか?というところで、合計10時間くらいが経過していた。

https://www.youtube.com/watch?v=uIs9nh3qprY&list=PLqbLt-S6_fh6U_Y7a8CyaA05GqvcJmNln&index= (4分半より抜粋)

④vTube Studioに出力

さて、完成したものを出力して試せる場所はないかと探すと、Live 2Dと連携した無料の vTube Studioがあると言うので、そちらを試してみる。
インストールは公式サイトから行った。Live 2Dで作成したファイルを「moc3ファイル」等聞いたことのないファイル名として書き出しし、vTube Studioへ読み込みを行う。こちらも「さらえみ」さんのサイトを参考にさせていただいた。

さあ、満を持して、私の作成したモデルの登場だ!
眼精疲労で目が霞んでいるのか、安堵による目の潤みなのか、ほっと一息つきながら、モデルを読み込む。結果は…。

え…

あの…

………あ、動いた!
あれ、何か変だぞ…?なんか、凄い馬鹿にしたような顔でこっちを見ていないか…?
いや、目と眉、口は動いてるけど、
何で私が目を閉じるとモデルの目が開くの
常時目を閉じている状態になっているようだ…。
怖。

どうやらホラー映画みたいになってしまったようだ。
(目の開閉で動きが逆転する理由、未だに原因わからないのでどなたか教えてくださいませ…(´・ω・`))
初めての試みであるし、完璧に出来るはずもないと思ってはいたものの、「パラメータ」の設定を間違えたのか…よく原因は分からないが、結局、モデルは完成したものの、何だか中途半端な作品になってしまったようだ。

だが、出来たことには出来た。うん。意外と、一人でも出来るもんなんだね!私は社会人になって初めて「プライベートの」プロジェクトが終了したことを、身を持って実感したのだった。クオリティはひとまず、Live 2Dという言葉すら知らなかった私が、一念発起して「イラスト」からの作り方を学び、一応完成させたということに意味が有ると思っている。

ここまでで、きっかり12時間が経過していた。つまり半日。
夕刻6時から始めた私はどうやら人生で数回目の、徹夜をしていたようだ。
vTuberモデル作成の沼に、いつの間にか落ちていた…。
これ、何だか不思議な魅力あるよ。自分が手をかけた分だけ、よりリアルな像が出来ていくんだもの…。職人気質の方には至極向いている作業だと感じる。

⑤最終評価と今後

さて、検証の結果、vTuberモデルは、独学でも「作れる」ことが一応証明された。イラスト作成の部分を省いても、モデリングを覚えることは、動画と説明サイトで勉強しながら進められる。そして完成した時の喜びは一汐だ。練習すればするほど、滑らかでリアリティのある動きになってくる。
(その奥深さを知った私は、vTuber志望でモデリングが初めての方は、逆にフリー素材を使用して始めるのが得策かなとも思っていなくもないが…)

ここまでやってみて、未だに溶けない疑問だらけだし、つぶさに原因を調べなければならないが、「社会人としてのプロジェクト」として完成されている気がしている。将来性もあり、極めれば自分もスキルとして売り出せるかもしれない。何より、2Dモデルを作成する普段は触れない技術に触れることで、機械に自然と親しみ、自信や話題作りにもつながる。

今回更に、自分で手を動かしてみて、無料の素材が大量にネット上に存在する中で、しっかりとお金を払ってプロにお願いする理由が、改めてはっきりと分かった。クオリティが最高のモデルが完成した時の嬉しさ、滑らかに動くストレスのなさ、「自分の為に作った」という意味づけが、世界に一人だけのvTuberを生み出すからである。その方が、スタートを切る時に、安心して始められるだろうし、今後YouTube上で生み出していく作品にも、輝きが増して行くのだろうと思う。

そしてもし、私が更にハマってしまい、最後にこれから自作を始める方々への需要があるとすれば…「簡単に質問を投げかけられるプラットホーム」があってもいいんじゃないか、と思ってはいる。


★おまけ

過去絵を、一応貼っておきます。
イラスト初心者でも、動かしたいモデルがあれば自作は可能ということが、証明されました…


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