白沢凪

詩などを置いていきます。 別アカウントの過去作もちらほら

白沢凪

詩などを置いていきます。 別アカウントの過去作もちらほら

最近の記事

導火線 ๑詩

8月が始まる 導火線にはもう火がついていて 瞬きをするたびに、輝きが遠くへと伸びてゆく 必死に追いかけるけれど どうにもこうにも届かない でも、それは、足を止める理由にはならないのだ 導火線に沿って進んでいくと、広い広い海に出た はるかむかし、 私が私であることに気づく、もっと前 砂浜を歩くと、海の中で息をしていたときのことが、ちりりと頭の隅をよぎる そのことを、 強く抱きしめるためにここにいるの 導火線は消えない 私が消さない限り その事実が、ひどく愛おしくてた

    • 傘 ๑詩

      世界中に開かれた傘がたたまれるとき 見えるものはきっと 太陽の光を纏った白い空 こつこつと足音が響き 私たちはどこへでも行けることを何度でも思い出す 心が静かでありますように グラスの冷たい水が尽きませんように 軽やかにステップを踏めますように いつも祈っている 私たちはこれからも 見たことのある風景をお土産に 夢から覚めるだろう ラッピングされた風景を、 ほどいても、ほどかなくてもいい 君は君であることから逃れられないのだから

      • ほどく指先 ๑短歌

        今までの全部ぜんぶが序章だと言いたくなるほどの花束を はちみつは底になる程透き通り明るく君を映し出します くちゃくちゃに絡まり合ったイヤフォンをほどく指先 かみさまみたい

        • おかえりの詩 ๑詩

          いつのまにか外は暗くなっていた あの日から心は忙しいまま、止まることなく今も進んでいる その間に、どのくらいの花が咲き、散っていったんだろう、 その間に、どのくらいの星が流れ、溶けていったんだろう 私が傷つけたすべて 君が与えた希望、戻らない明日 今も細胞に残っているなら、きっと、死ぬ時まで生きていける 夏が永遠に続けばいいのに、なんて 貝殻にでもならないと言えないね 太陽が沈んでも息をしていられるのは、ちょっと、おもしろいね あの人が帰ってきたら、ちゃんと

        導火線 ๑詩

          ねえ、今日うち来ない? ๑小説

           人生において、何から楽しみを見出すかということは割と重要なことなのではないだろうか。 仕事、趣味、恋愛ーー興味の数が多いほど、また、それに関わる人が多いほど選択肢は増えていく。  私こと乾つかさは現在、残業に人生の潤いを見出している一人であった。    もちろん残業自体が好きなわけではない。むしろ定時退勤をしたい派だ。 その深い理由にあたる人物を横目で見遣る。その視線に気がついたのか、 「つかさちゃんも、今日残り?」と猛烈な速さでパソコンを叩くのを止めながら話しかけてきた。

          ねえ、今日うち来ない? ๑小説

          噛み砕いたらハッカ味 ๑川柳

          さよならを噛み砕いたらハッカ味 美少女に生まれ変わって、どうするの 返す日が分からないんだこのからだ

          噛み砕いたらハッカ味 ๑川柳

          おにぎりと僕と布団 ๑川柳

          おにぎりと僕と布団で夜を越す 詐欺撲滅町内放送エンドレス 大人こそスキップすべき金曜日

          おにぎりと僕と布団 ๑川柳

          流星のうた ๑詩

          近づけば近づくほどに遠くなる こんなにも離れ難いのに 私たちは流星で いつかは道を違う 貴方はいつの間に そんな彼方にいたのだろう 私は 私の周回軌道に取り残されているのに すすんでいく時間がこわいわけじゃない 貴方に一欠片の心をわたすね それが 深い孤独の中にいる時の 光に向かう目印になりますように ずっと祈っている ずっとずっと 幸せでいてね

          流星のうた ๑詩

          千年後にも ๑短歌

          君だけの魂が好き 転生とか信じないけど、千年後にも 年の数だけ違う春迎えても変わらずさくら淡い色して

          千年後にも ๑短歌

          それでも君は ๑詩

          夜が暗くてよかった 聞こえるのは、呼吸だけでいい 涙なんか見せたくなくて、僕は少し俯くのに それでも君は、優しいままだから、心がくすぐったい 生ぬるい風にうたれながら 明日に戻れなくなるまで 星を頼りに歩いていく

          それでも君は ๑詩

          それでいいと思えたなら ๑詩

          やわらかいふとんの上で目を瞑る 暗闇を生みながら、空から与えられる優しさを待つ 最近、雨の音を聞いていない 私がもし、全てを決められる神様みたいな存在だったら君を見ている緑と、私の見ている緑を同じにして、 砂浜につけた足跡が永遠に残るようにする。 ずっとずっと、雨を降らせる もちろん君は、それを聞いたら、(君はなんて言うだろうか) この世界はひとりひとりのわがままでできていて 涙が流れたり、口角が上がったりすることもあって、 胸に燻るさみしさは、わがままなひとりぼっ

          それでいいと思えたなら ๑詩

          寿司

          寿司、でらうめぇ!

          あたたかいから大丈夫 ๑詩

          かなしみを雨で洗い流しても 空に昇り、いつかは戻ってくる 糸が紡がれるように 繰り返し重なり合いながら 君の喜びが水にとけて 白い雪になって再び降り注ぐ時 しゃがみ込んだ足元に 希望が変わらず 芽吹いていますように この星はあたたかいから大丈夫 そう呟きながら 生きていく

          あたたかいから大丈夫 ๑詩

          言葉の最後に ๑詩

          君の心が離れないように 言葉の最後に何を置こう この建物にいる人全員に はじめましてが手を振っていること みんなみんな自分とは関係ないような顔をして さようならが一緒に息をしていること みんなみんな自分とは関係ないような顔して 伝えたいことなんて 実はほとんどなかった うつくしいものなんて 実はすぐそばにあったのに いつまでも空に、海に、君に手を伸ばしてしまう しゃぼん玉を部屋の中で吹く 風をながめる 君からの返信を待っている

          言葉の最後に ๑詩

          夏、そうめんについて

          茹だるような暑さが続いている。暑すぎるのか、蝉の声も聞こえない。 食欲もさほど湧きそうもない夕方、冷蔵庫を開けても半切れの大根くらいしか食べるものが見つからなかったので、仕方なく乾き物を入れている棚を覗いたら そうめんの袋が見つかった。 「揖保乃糸」と書かれたパッケージを見て、冷蔵庫の中をもう一度見、つゆがあることを確認したのち今年初のそうめんを茹でることが決定した。 そうめんを菜箸でかき回している最中、小学生低学年頃の記憶が駆け上がってきた。 初夏の、田植えの時期の記憶。

          夏、そうめんについて

          創り続けること

          今という瞬間を文章や詩という形で結晶化したい。そんな思いが蓄積して、 キーボードを叩いています。 5分後には忘れてしまうような小さな感情も、むしろ忘れてしまった方が幸せな出来事だって、僕だけのものだという贅沢。 いつかこの世界から消える時も結晶が輝き続けることができるのなら 自分が生きたことを自分で肯定できる気がする。 そんな気持ちを大切にしたいと思います。

          創り続けること