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【エッセイ】悲しいのは愛しいから

奇形のメダカが水槽から卒業した。

今は、不自由な身体を抜けて、悠々と
そこら辺を泳いでいるのかもしれない。

自由に。

メダカは100匹以上飼っている。
その中で、こんなに悲しいと感じるのは
この奇形メダカくらいだろう。

何でこんなに悲しいのか。

奇形で生まれて、生存競争に負けて
一匹だけずっと小さくて
それでも食い気だけは一丁前で

食べられなくなった身体で
食べようとする意志だけは
最期まで一丁前で

こんなに記憶に残るメダカも珍しい
その位、愛しかったのだろう。

一匹の、奇形のメダカが。


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