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頭が良くなる薬

突然のわたくしごとですが、
わたしには、軽度の知的障害があります。

わたしはずっと思っていたのです。
「知的障害が治れば。
頭が良くなれば、知能が高くなれば、
いろんなことが理解できて
自分も、まわりも幸せになる!!」

この理論を突き詰めると
「知的に高い=幸せ」
という公式になっているようです。

通院している精神科にて処方される
集中力を高める薬があるのですが
わたしはそれを好んでおり、
より多く(一錠でも多く)服用したい。
やはり、集中力が違うのです。

夫「しろ子(わたしの仮名(笑))、表情が少なくなったよ」
「元気が無いね?どうしたの?」

それは、この薬を使った人がよく感じるとされる反応。
笑顔が無いのではなく、脳内で集中力が上がった結果。
元気が無いのではなく、鎮静が効いている。
きっと、いままでが元気過ぎたんだ。


わたしは薬で集中力を手に入れたの。
頭が良くなって、大人になったってこと。
いつも笑顔ってまわりの人はいうけれど
そんな子供っぽい わたしじゃなくなったの。
まわりを幸せに出来る、頭の良いわたしに変わったの。


もっと この薬を多く飲みたい
そうすれば もっと賢くなる!!

わたしも 地図が読めるようになり
書類の処理や片付けも

夫は言う
「その薬は好きじゃない
なんだか理屈っぽくなって
笑顔や 優しさ
しろ子の良さが失われていくように思う」

「なに言ってるの
わたしに、できることが増えれば
みんなが幸せになるんだよ?」

この問答は何年も続き

わたしは ある映画を観てみた
きっとヒントがあるよ

「アルジャーノンに花束を」
知的障害を抱えるシャルルは母親から疎んじられ施設で育った。清掃夫として働いていた彼は、知能の向上が可能だという新薬の治験に選ばれ、驚くべき早さで高い知能を獲得するが…。(Amazon アルジャーノンに花束を [DVD]より)

主人公シャルル(男性)はIQ でいうと60という設定。
わたしも、知能検査のおおまかな4項目の内のひとつは
IQが60となっている。

シャルルが地図・方向がわからないところなどそっくり!!

知能を向上させる薬で、IQの数値がどんどん上がっていくにつれて
まわりと上手くいかなくなったり 人を見下したり
なんだか感性、という面で 乏しくなっていくようなシャルル

薬の効果が過去の記憶にも作用し、色々な過去を思い出す
彼は知的障害であるために 母に厳しい教育を受け
最後は施設へ入れられる

思い出したシャルルは老人ホームにいる母を突き止め
「ママの望み通り 賢くなったよ
みんなとおなじ、 ”普通”に」
母は認知症を発症しており、彼の事がわからないようで拒絶する。

薬はだんだん効果がなくなり、先に同じ薬を投与し研究対象であった
「アルジャーノン」というネズミに、退行の症状がみられていた。

シャルルにも薬の副作用としてあらゆる症状が現れ、抗うつ剤を投与。
均衡を崩してゆく。

うまく書けなかったが(簡潔過ぎてすみません。良い映画です)、結果、薬で高知能になっても幸せにはなれなかった
という話であった。

この間 SNSで見た

「息子は 知的障害とわかっているけれど
とにかく勉強ができない 
こんなこともできないなんて
○○過ぎて 腹が立つ」という
お母さんの投稿

悲しいよ

わたしは なにがしたいんだろう
息子を 優しい人間に育てたい
ありのままでいて欲しい

これに関してどうしたらいいのかわからない
けれどおそらく 
自分がそういう人間になる以外 思いつかない

ありのままでいて欲しい


頭の良くなる薬は
必要に応じて 必要なだけ
先生に 多めに出してもらうよう言うのはやめる
必要の無い状況なら やめることも考える

病気や障害を持って
「ありのままで生きる」ことは
きれいごとばかりじゃない


でも
お母さんが
ありのままでいることを
これから 頑張る



※注釈
ここでお話しているのは
ADHD 薬のことですが
医師の指示のもとであれば
高い効果や安全性が示されているお薬になりますので
それを否定する意図はありません。



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