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応力 ~木構造のための構造力学~5

目次
第1回 計算書を読んでみよう
第2回 力のつりあい
第3回 モーメントとは?
第4回 反力
第5回 応力(今回)
第6回 断面について
第7回 図心・断面一時モーメント
第8回 断面二次モーメント
第9回 断面係数
第10回 許容応力度

 応力は一番難しい分野です。 建築士試験で応力分野を得点源にしている人のほとんどは理解しないで使っているようです。その結果、試験を終えると忘れてしまいます。確かに点数とるだけだったらそれなりに簡単です。

 応力は、外からの力(外力)により物体内部に発生する力(内力)です。先ほどまで見てきた、荷重や反力は外力です。応力は外力に等しく向きは反対になります。ただし目に見えない力なので、理解するのが難しいのです。ここでは、試験などで必要な軸方向力(軸力:N)と曲げモーメント(M)とせん断力(Q)を学んでいきましょう。イラストはイメージがつきやすいように付けています。微妙な部分があるのでツッコミ無用です。

<軸方向力(軸力)>

 1本の綱を二人で引っ張っているところを想像してみてください。

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 外力は、二人が引っ張っているので、それぞれ左側と右側に向かっており、どちらにも動かない場合は、つりあっているので、それぞれの力は同じ(方向は違う)です。それを図で書くとこんな感じです。

 では、この綱の内部を見ていきましょう。綱の内部に働いている力を軸方向力(軸力:N)といいます。ゴムを思い出してみてください。引っ張ると伸びますね?綱も同じような力が働いています。内部的にも左右に引っ張る力が働いています。逆に綱を両側から押す場合は内側に圧縮する力が働きます。軸方向力は引っ張る力(引張力)と圧縮する力(圧縮力)があることになります。

<曲げモーメント>

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 次に使い終わった割りばしを両手で持って弓のように曲げてみてください。割りばしの場合、弓なりになって最後は割れてしまいますね。もちろんこの場合も割りばしの内部には応力が発生しています。この曲がる力を曲げモーメント(M)といいます。なぜ曲がるだけなのにモーメントなの?という方もいると思うので曲がっている一部を取り出して見ていきましょう。

 曲がっている一部分を切り取って見てみると断面は上図のようになります。この形になるためには、一対のねじるような力が働いていることになります。そのためモーメントなのです。このモーメントも回転方向がありますので、プラスマイナスを間違えないようにしましょう。

<せん断力>

画像3

 軸方向力や曲げモーメントはわかりやすい現象ですが、せん断力はちょっと難しいです。はさみで紙を切るときを想像してみてください。はさみの刃を見ていると下図のように切っていますね?左右にずれる力が働いているのがわかると思います。これがせん断力です。

 反力と応力を、混同する場合が多いです。ここまでの内容は、二級建築士試験を受ける方は誰でも知っています。しかし使いこなせるか?と本当に理解しているか?は別で、以外とここを理解したつもりで先に進むと・・・後悔することになります。初心忘るべからず、です。ここまでで初歩編は終わりです。次は、梁の設計、その次は柱の設計と実務的な内容を織り込みながら、二級建築士の知識をどうやって実務に活かしていくか?を説明します。

次回は、断面についてです。今までの内容に比べると実際に見えている物で感覚は掴みやすいのですが、断面性能がどのように決まるかが理解できないと挫折します。木構造でも断面は非常に重要ですので、頑張ってついてきてください。

第6回 断面について

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