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建築士試験の知識でマスターする木造構造計算1 地震力

第1回 地震力(このページ)
第2回 地震用の重量Wiの算出
第3回 層せん断力係数を求め地震力を出してみよう
第4回 地震力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう
第5回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 見つけ面積編
第6回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 計算編
第7回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 検討編

まずは地震力のお話

 木造2階建て程度を構造計算するのは無意味!と考える方が一定数いるのはわかります。木造2階建て程度だったら安全性は問題ないのでは?と私でも思うことがあります。では数字で出してみて・・・と言われたとき、どうすればいいのでしょうか?壁量計算のように必要な壁量が出てしまえば簡単なのに?と思いませんか?

 実は、構造計算の壁量も壁量計算の延長上にあります(というより構造計算を簡略化したものが壁量計算)。その必要な壁量を計算する元となるものが地震力です(見つけ面積が大きい場合は風圧力の場合もあります)。地震力が出れば(あくまで耐力壁だけの話ですが)必要壁量が出ます。では、地震力を出すには?というところから始めたいと思います。

 その前に、建物のどこに地震力がかかるか?を知っておく必要があります。といっても地震って横揺れもあれば縦揺れもあります。それ全部に対応するのは無理ですよね?そこで一定のルールを定めています。

・地震力は各階床(1階床は無視。一番上は木造では最高軒高面)に作用する
・上階の床に加わった地震力は下階の壁で負担する(つまり倒壊しないようにする)。
・地震力が伝わるために、床は剛である必要性がある(そのために火打ちや構造用合板の床が必要)。

では伝わる地震力を出すにはどうすれば良いでしょうか?答えは、

・Qi=Wi×Ci

です。2級建築士試験で出てくる重要な公式です。Wiはi階より上の重量、Ciはi階に作用する地震層せん断力です。ああ、難しい!!!と感じないでください。つまり地震力は、各階の床に伝わり、それを計算するのに必要なのは、重量と地震層せん断力だけなのです!!

重量は、各階に使っている材料などで固定荷重を計算し、各階床にかかるだろうと仮定した積載荷重(地震力用)を足し算します。これは、面倒ですけど理屈上、誰でも出来そうですよね。ただの足し算とかけ算で出来そうですから。

では、もう一つの地震層せん断力が問題です。こちらも2級建築士試験で重要な公式として出てきますね?

・Ci=Z・Rt・Ai・C0

です。建築士試験を通り抜けた人は必ず知っている公式ですが、どう使うかはわかりにくいものです。しかし実態は簡単です。少なくともExcelがあれば、瞬殺です。

Z(地震地域係数)

 これは、日本各地の地震動の強さに応じ4種類に区分し定めたものです。東京だったら1.0とか場所によって決まっています。なのでただ住所より調べればいいだけです。東京で設計している限り1なので楽に暗記できますね?

Rt(振動特性係数)

建築物の設計用一次固有周期と地盤の種類によって決まります。値は1以下です。軟弱地盤、普通地盤、硬質地盤で決まります。

Ai(地震層せん断力係数の高さ方向による分布係数)

俗にいうAi分布です。高さによって揺れが変わってくるので補正するための物です。一階は1.0です。上階ほど値が大きくなります。

C0(標準せん断力係数)

地震の規模により決まる係数で0.2以上です。地震力を調整するので、例えば耐震等級2なら0.25、耐震等級3なら0.3です。耐震等級は地震力にそれぞれ1.25倍、1.5倍するわけなので、ここで調整します。通常の木造の構造計算ならこれ以上考える必要はありません。

 はい。ここまではテキスト通り。しかもテキストより長く(汗)書いてしまいました。次回は実際に手を動かしてやってみましょう。

今回で覚える事

・構造計算の地震力は各階床にかかる
・地震力は2級建築士テキストに書かれているとおり
・地震力を出すために,建物の重さを算出する必要がある

次回の記事はこちら(第2回)

構造力学を初めから学んでみたい方には、
木構造のための構造力学をどうぞ。

木構造のための構造力学 第1回 計算書を読んでみよう


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