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建築士試験の知識でマスターする木造構造計算6 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 計算編

第1回 地震力
第2回 地震用の重量Wiの算出
第3回 層せん断力係数を求め地震力を出してみよう
第4回 地震力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう
第5回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 見つけ面積編
第6回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 計算編(このページ)
第7回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 検討編

さて、見つけ面積に関してはこれくらいで・・・構造計算用の風圧力の基本公式は、

w=q×Cf

となります。qは速度圧、Cfは風力係数です。速度圧は風圧力の基本量のこと、風力係数は建物の形状によって定められる係数です。つまり建物の形状によって同じ風でも影響が違うことをCfによって補正しているのです。この二つをかけ算すると風圧力がでます。ここはシンプルですが、それぞれを計算するのは面倒です。

まずq(速度圧)を出しましょう。qを出す公式は

q=0.6×E×V₀²

です。Eは建物の高さや周辺の状況による影響を考慮した影響係数、V₀は、基準風速です。先ほどCfで建物の形を補正していると説明しましたが、速度圧はその地域の純粋な風圧を計算するのです。それは建物高さと周辺の状況と、地域によって定められた風力係数により計算します。

まず建物の高さや周辺状況による影響係数Eの公式は

E=Er²×Gf

です。Erは平均風速の高さ方向の係数、Gfはガスト影響係数です。Erの計算方法は高さ5m(大都市部では10m)を境に2種類あり、

HがZb以下の場合、
 Er=1.7×(Zb/Zg)^a  (^aはa乗を示す)
ZがZbを超える場合
 Er=1.7×(Z/Zg)^a (^aはa乗を示す)

です。難しそうですが、地表面粗度区分に合わせて下表から選んで計算すればOKです。Hは建物高さ(最高高さと最高軒高の平均)とします。一般的にはⅢがほとんどなのでZbは5となります。

ちなみに地表面粗度区分とは、Ⅰ~Ⅳの4段階あり、ほとんどがⅢです。Ⅰは、都市計画区域外で、極めて平坦で障害物がないものとして特定行政庁が規則で定める地域、Ⅱは、都市計画区域外でⅠ以外の地域、区域内で海岸線や湖岸線に近い地域(詳しくは法令を)、Ⅲは、ⅠⅡⅣ以外、Ⅳは都市化が著しいものとして特定行政庁が規則で定める区域です。木造住宅で都市計画区域内だったらほとんどがⅢです。実務では実際に調べてから行うと良いでしょう。

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公式中のZは、高さです。まずは各階の高さを決めます。各階高をそのまま利用すればいいのですが、屋根は違います。最高高さと最高軒高を足して2で割ります。これが建物高さとします。

Erは、1.7×(6.5÷450)^0.2=0.728432・・・

となります。

Erが決まればあとはGFです。GFも地表面粗度区分により下記が決まり、あとは式に当てはめれば良いだけです。①②③はZの高さのことです。今回は木造で高さが10mに大きく及びませんので、地表面粗度区分Ⅲと①で2.5となります。私などは2.5は定数と考えてしまうほど一般的な数値です。

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では、Eを出してみましょう。E=Er²×GFなので

E=0.728432²×2.5=1.327(4位以下切り上げています)

となります。では速度圧qも求めてみましょう。q=0.6×E×V0²ですから

q=0.6x1.327x34²=920N/m2となります。

次にCfを各階毎に求めます。今回は省略して昔の基準の1.2を採用して計算します。

w=q×Cfより

風圧力w=920×1.2=1104N/m2

これに見つけ面積を掛ければ風圧力の各階のせん断力が出ています。あとは地震力と同様に、建物の持つ耐力が、風圧力に対して上回っていれば安全・・・ということになります。

これじゃあ何をやっているか?わかりませんね?ただの数式です。次回はもう少しわかりやすく内容を解説し、風圧力に対して安全かを検討してみましょう。


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