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建築士試験の知識でマスターする木造構造計算7 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 検討編

第1回 地震力
第2回 地震用の重量Wiの算出
第3回 層せん断力係数を求め地震力を出してみよう
第4回 地震力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう
第5回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 見つけ面積編
第6回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 計算編
第7回 風圧力から必要壁量を出して建物が安全か確認しよう 検討編(このページ)

前回は数式ばかり見せました。構造計算なら当たり前!というかもしれませんが、正直つまんないです。そして理解できないです。とりあえず実務で、という方は、

1:見つけ面積が大きいほど、風圧力は大きいので壁量が必要
2:高さが高いほど風圧力は強くなる
3:基準風速は二乗をかけるので、2くらい違っても大きく速度圧が変わってくる。つまり沖縄の46はパニックになるほど威力がある。
4:屋根などの形状によって最上階などはCfの影響を受けるので屋根の形や建物形状はバカにできない。w=q×Cfが一番基本の公式。
5:意外と定数的な数字が多いので、Excelなどで表をつくっておけば簡単

といったところを覚えておけばいいでしょう。正直、電卓をたたくよりExcelなどが得意な分野です。もっといえば構造計算であまり風圧力を重視していないように見えるのは、それが重要じゃないからではなく、上のように、基本的なことをおさえておけば、比較的簡単に算出できるからです。どうしても地震力のほうがメインに見えてしまいますよね・・・。

さて、前々回、見つけ面積をだし、前回風圧力をだしました。では、いよいよ存在する壁量が足りるのか?を計算してみましょう。

前回、速度圧を920N/m2と出しました。

風圧力は、風力係数Cf(前回1.2としました)をかけます。

それに、見つけ面積をかければ、この建物のとある階に対する風圧力によるせん断力が出ます。

2階の見つけ面積×速度圧q×2階の風力係数Cf=2階の風圧力
1階の見つけ面積×速度圧q×2階の風圧係数Cf=1階の風圧力です。

ここで、1階の見つけ面積は、1階の半分より上すべて、2階の見つけ面積は2階の半分より上すべてです。前々回をおさらいしてみてください。

では、実際に計算してみます。

6×920×1.2=6.624kN(2階)
12×920×1.2=13.248kN(1階)2階を加えると19.872kN

です。このように風圧力でも2階より1階のほうが強い力が加わるので、必要壁量が大きくなることが予測できますね。

ここで、地震力と同じように存在する壁量と上記を比べて見ます。
第4回を参照ください。

本建物では、各方向壁が四枚あります。それぞれ倍率が1倍なので4倍です。短期許容せん断耐力に換算するとPa=7.84kN(4×1.96)です。

2階:7.84kN>6.624kNなので、OK
1階:7.84kN<13.248kNなので、NG

です。つまり壁倍率1倍だと、2階はOKでも1階はNGということになります。
では、第4回のときと同じく、壁倍率を2倍(筋かい45×90のシングル)で計算してみましょう。

2階:7.84kN×2=15.68kN>6.624kNなのでOK
1階:7.84kN×2=15.68kN>13.248kNなのでOK

1,2階ともクリアできますね。

ここでの計算は、全体的な話です。実際の構造計算では、各通り毎に上記のような計算をしていきますし、今回までの地震・風圧力の計算がクリアできたからといって、構造計算が成り立つ!!!というほど単純なものではありません。しかしここまでの話は基礎の基礎ですから、きちんとマスターしておきたいものです。

壁が一段落したので、次回からは床です。お楽しみに!



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