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木造構造設計のお約束

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木構造の特殊なルールを、気がついた順に書き連ねていきます。
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2022年9月の記事一覧

不整形の建物が多いからこそ、木造は構造計算すべき

不整形の建物が多いからこそ、木造は構造計算すべき

 私は、木造住宅は必ずしも構造計算は必要ないと思っています。しかし近年、複雑な建物が増えてきて、壁量計算では安全を確保できないケースも増えています。そこで上記の動画を作りました。

 プレカットの普及に伴い、技術がそれほどなくても上棟は可能になり、設計事務所や、施工会社の手間も減りました。しかし良いことばかりではありません。プレカットの仕口だと、柱は短ほぞで抜けやすいし、複雑な仕口もできません。基

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構造設計者が木造壁量計算の基準を暗記していない5つの理由

構造設計者が木造壁量計算の基準を暗記していない5つの理由

構造設計者と話していると、壁量計算知らない、という方が意外と多くいます。まあどんなものかは知っていても、方法を知らないとか、やったことがないとか。そんなのけしからん!という人がいるかもしれません。ここで構造設計者が木造壁量計算を知らない5つの理由を考えてみたいと思います。

その1 そもそも木造はやらない

 これが多いですね。そもそも構造設計者は、大きめな建物の構造計算・構造設計するのが主流でし

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木造構造計算を学ぶ前に読むべき3冊

木造構造計算を学ぶ前に読むべき3冊

よく、木造構造計算を学ぶにはどうしたらいいか?と聞かれますが、よくよく聞いてみると、木造自体をよくわかっていない人が多いのに気がつきます。なので、木造構造計算を学ぶ前に読むべき本を3冊紹介します。

安全な構造の伏図の描き方(エクスナレッジ)

 伏図が描けない、読めない方が多くいらっしゃいます。正直それで構造力学や計算を学んでも無意味かと。まずは正しい伏図の描き方、読み方をこの本でマスターしまし

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壁倍率とは?

壁倍率とは?

どこでも書いていますが。意外と知らないのに勝手に使っている壁倍率。ここでは木造の壁倍率のことを書きます。

 壁倍率とは、木造の地震に対抗する壁である耐力壁の強さを数値化したものです。最大は5です。大きいほど強いです。1と2なら、2は1の2倍強いことになります。壁量計算で、計算しやすいように設定されています。壁量計算とは、木造住宅が地震や台風によって壊れないように安全性を確認する簡易な方法です。各

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