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私のお守り、東京新卒1年目

1年前の今頃、
世間ではWBCが話題になっていた。
Vaundyはほろ~苦~いと歌っていた。

私はそんなことも知らずに働いていた。私は当時新卒1年目であった。
大型プロジェクトが大詰めで、朝8時ぐらいに帰宅して11時ぐらいに出社する毎日だった。シャワーを浴びて服を着替えるためだけに家に帰る。ホテルでもよかったけどどうしても一度は家でリセットしたかった。一人暮らしだったから洗濯とか仕事以外の生活のことまで考えないといけないことが億劫で仕方なかった。

会社は東京、家は横浜。
こんなにも忙しい社会人になると想像しておらず学生のときから住んでいた横浜から通っていたのだ。怒られて、できなさに悔しくて泣きながら帰る毎日。
出社する人たちに逆流して電車で帰るときもあったけど、タクシーを使うときもあった。コンビニでコーヒーを買って帰ることだけが唯一の楽しみだった。
だから運転手さんや店員さんからは行き先や支払い方法を言わなくても覚えられていた。まだまだ冬の冷たさが残る東京で朝日を浴びながら、名前も知らない彼らに「今日もお疲れ様です」と言われ少し緊張がほぐれていた。

ずっと家を不在にしていて最後の最後まで待っていてくれていたクロネコヤマトのおじちゃんからは、今時珍しい手書きの送り状と長崎からと書いてあるのを見るなり「これお母さんから?連絡してあげてね」なんて言われたっけ。

私は現在、退職して転職せずにワーキングホリデーという道をえらび、オーストラリアで生活を送っています。1年前とは比べものにならないくらい穏やかに時間が流れています(全く新しい生活、英語環境に慣れませんが…)。いろんな国の人が集まる語学学校にも通っていて、そこで出てくる話題は「日本は豊かでとてもいい国だと思う。でも働き方が好きではない。」ということです。これは私と同じように渡豪している日本の人からもよく上がる話題です。その働き方はとくに東京でのことを指しているように思います。

私は新卒1年目で今の時代にそぐわない働き方をしていたと思います。
でもその時はそんなことも忘れるぐらい必死でした。上司や会社からしたら、全然仕事ができない、教える方が手間のかかる私に残業代を払うぐらいなら早く退社させた方がよかったと思います。だけどあえてそうはせず、忙しい中でも私の成長も考えてくれていたのだと今となると理解することができます。

私にとって東京で社会人になることは、ただ単に会社のために働く、社会の歯車になるということではなかったように思います。厳しい中にも、スキル面と人としても、成長させてくれる人たちがいました。そして、名前も知らない誰かの小さな優しさに触れることができました。

だからあなたたちもこの働き方をうんぬんかんぬん・・・というつもりは一切ないですし、これから働き方はどんどん改善されていくべきだと思っています。
ですが、私にとって、会社員のときに味わった少しキツイ経験とそれを通して出会った人々が、今となっては「自分はあの時頑張れたから大丈夫」という小さなお守りになっています。


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