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【気ままな読書日記】正義の教室

『ミルの世界』。まだ第一部の生涯編を読みはじめたばかり。
長い不倫の末にやっと結ばれた恋人ハリエットが、わずか7年ぽっちで病死してしまいーーーって辺りを読んでいたのだが、ついつい別の本が気になり始めてしまう。
それがこれ。『正義の教室』。

昔読んだがもう忘れた。『ミルの世界』を放り出してチョットこちらに浮気する。

飲茶先生によれば、この世に正義の判断基準は3つだけ。
それが平等・自由・宗教で、世界の国々を見渡せば、だいたいこの3属性のどれかに振り分けられるのだとか。

平等 → 功利主義(平等重視)共産・社会主義国
自由 → 自由主義(自由重視)民主主義国
宗教 → 直感主義(道徳重視)宗教マウントの国

おうおう、たしかに~~。
言われてみれば、だいたいこんなイメージだ。

ミル先生は功利主義の偉人・ベンサムの弟子筋にあたる人。
ってことはミルも功利主義者なのかな?と思ったらそうでもなくて・・・・

ジョン・スチュアート・ミル(John Stuart Mill、1806年5月20日 - 1873年5月8日)は、イギリス哲学者。政治哲学者、経済思想家でもあり、政治哲学においては自由主義リバタリアニズムのみならず社会民主主義の思潮にも多大な影響を与えた。晩年は自ら社会主義者を名乗っている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

なんだか功利主義と自由主義の折衷型のような人だった。
たぶん、功利主義の欠点を補おうとするとこうなるのだ。

『最大多数の最大幸福』をモットーとする功利主義の欠点は、全体の利益のために少数が切り捨てられてしまうところ。
たとえばトロッコ問題で『多くの命を救うために一人を犠牲にする』のが功利主義の選択だ。トリアージなんかもそうみたい。
全部は救えないならせめて一人でも多く・・・と考えるのは正しいことのように思えるけれど、だけど犠牲になって4ぬのが自分なら? みんなのために4んでくれと言われて素直に「ウン」って言えるのか。
ちなみに自由主義ならば「イヤです」とお断りする権利をキチンと個人に認めてくれる。ーーーが、その場合は当然、大人数コースにトロッコが突っ込むことになるわけで。

功利・自由・直感主義と、どの立場にも一長一短があり「✕✕主義こそが唯一の正義です」とは言い切れない。
『正義の教室』は、生徒会長・山下正義まさよしと、副会長・徳川倫理りんり、会計・最上千幸ちゆき、庶務・Liberty・自由みゆう・Freedomらがわちゃわちゃしながら正義とは何かを考える小説仕立ての哲学本である。


こちらは『正義の教室』編集者・中村明博さんブログ


後日、追加で書いたもの。


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