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【気ままな読書日記】こども六法の使い方 #シロクマ文芸部

最後の日に読んだのはこの本だった。

この本は『こども六法』を読む大人たちに向けて書かれた本なのだが、私は『こども六法』を読んだことがない。

先に『こども六法』を読むべきか。
それともこっちから読んじゃうか。

どうしようかな~~と思いながらページをめくるうちに、手が止まらなくなった。法律ド素人の私にもとっっっても面白いのだ。
いや、もしかしたらド素人だからこそ余計に面白いのかもしれない。考えさせられることがたくさんあったから。

全部は書ききれないから一番よかった箇所をひとつだけ。

人権は目で見ることも手で触ることもできません。意識しなければ忘れてしまうし、主張しなければあっさり失われてしまう儚いものです。
けれど、とても大切なものだからこそ、私たちが忘れてしまうことがないように、昔の人たちは「法」という形で残してくれました。
人権を本当の意味で私たち一人ひとりの財産にしてくれるのは、お互いの人権を認め合おうとする認識だけです。この「認識」という目に見えない土台を築き、守れるようになるために、「他人の権利を守ることは自分の権利を守ることである」という意識をしっかり育てておく必要があるのです。

『第4章 義務を果たさない者に権利はないのか』より

権利は主張しなきゃいけない。
黙ってちゃダメなのである。

小学生の頃いじめにあっていた山﨑先生は常々不思議に思っていた。
己が浴びせられる酷い言葉は名誉棄損や侮辱にあたるハズ。ならばどうして警察が来て彼らを逮捕してくれないのかと。
ところが。中学生ながらどっぷりと法律にのめりこんでいた先生は、ある日、真実に行き当たる。

それが親告罪だ。

条文には、名誉棄損や侮辱の罪は被害者からの告訴がなければ犯罪として捜査したり起訴したりすることができない、とある。
先生は「・・・っっガーーーン!!」とショックを受けた。
彼らがお咎めなしだったのは、己が訴え出ていかなかったから。
彼らが罪に問われなかったのは自分が黙っていたからだった。

このくだりを読んだ時、私は思っきし拳を握りしめてウンウン頷いていた。
そうっ、そうなのだ。黙ってちゃダメ。
理不尽には自ら声をあげてかなきゃいけない。

山崎先生は法教育の必要性を強く訴えておられるのだが、私もそれに強く賛同。
法律の知識は頼もしい足場となってくれるハズだから。モノサシのひとつとして使えば、己の現状を相対的に観察しやすくなるし。


先生の本、子供たちに届くといいですね。
大人も子供も、歯を食いしばって頑張ってるひとたちに幸あれ。

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