がんの確定診断をもらった日,パーティをしたこと。
仕事を早退して家に帰った。いつもは一人だけど今日は「ただいま」と言えるのが嬉しかった。
Rくんが大鍋いっぱいお味噌汁をつくってくれていた。ごはんに鶏ハムと目玉焼きをのっけた丼を食べた。
それから電車に乗ってクリニックへ。Rくんが一緒にきてくれた。
診断は,わかってたけど,やっぱりがんだった。
病理検査の結果は,これまでより情報が多くて良かった。
ホルモン受容体陽性,HER2陰性。増殖能の指標は8程度(低めということらしい)。「癌の中では,穏やかな種類の癌」とのこと。
リスク要因としては,がんの大きさが約4cmと大きめであることと,年齢が(ぎりぎり)若年に分類されるらしいこと。 これに加えて,がんの拡がり具合によっては,抗がん剤をする必要も捨てきれないとのこと。
いろいろ質問をした。質問がなくなってしんとするまで話をきいてくれるのだった。リファー先は,自分の住処や勤め先から一番通いやすい病院に決まった。
そのあと,CTスキャンを撮った。大きな機械の下で寝転んで,出し入れされて,息を吸えとか止めろとか言われた。腕にあらかじめ付けていた注射針から造影剤を入れられた。
だって。ほんとに股間の中みたいなあたりがじんわりあたたかくなった。
へんなもんだと思った。
いつも,病院はひとりでも平気と思っていたけれど,自分の味方が側に居てくれると,自分が少し人間らしい感情を持ってその場にいられた気がした。
帰り道,かかとの痛いRくんと,乳がんになったわたし。ふたりで,雪の溶けたアスファルトの道を,ゆっくりゆっくり歩いた。
スーパーに寄った。パーティーだからと言いながら,コロッケ,とんかつ,アスパラガス,トマト,鶏肉,その他食べたいもの色々。あとは缶ビールを買って家へ帰った。
うちに帰って,パーティ,パーティと言いながら,調理しながらふたりで食べた。
おっぱいが片方,なくなるのだ。
おっぱいの片方の,退官記念パーティだ。
いままでありがとうな,いつもいてくれてな。
おまえは,いいおっぱいだぜ。
お風呂に入ってから,Rくんにおっぱいの写真をとってもらった。
おっぱいはいつもどおり,どっちも変わらず大きく,ぱちっとして,それでいてちょっとゆらゆらしていた。ただ右のおっぱいだけ針の跡があり,その周辺は内出血で,ぼんやり黄色くなっていた。
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