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司馬遷・史記とキングダム ※映画ネタバレ無し

秦の始皇帝・兵馬俑展の思い出


小学生の頃、家族で秦の始皇帝・兵馬俑展へ行ったことがあった。

特に、家族の誰かが中国史好きという訳でもなかったが、夏休みに地元で展示会が催されていたため、ちょっとしたドライブも兼ねて、お出かけしたのだと思う。

兵馬俑(へいばよう)とは、古代・中国で、死者とともに埋葬された兵士や馬をかたどった像のことだ。

死後の世界もなお王に仕える者として、兵馬俑をお墓に納める習慣があったのだ。

それらはいまだに謎が多く、考古学者を魅了する世界の不思議の一つである。

参考:2200年前の中国、兵馬俑とは何か? どうやって大量生産したのか?

ナショナル・ジオグラフィックより引用

当時、小学生だった私の記憶には「なんだか怖い」という感想しか残らなかったが、歴史の中でどの時代に興味があるかといえば、なんとなく春秋・戦国時代と思う気持ちはあった。

一方で、

中国史上初めての天下統一と言われても、国を統一するってどういうことなのか?

同い年くらい(13歳)の王は、日々どんなことを考えていたのか?

死してなお、王に仕えたい家臣って、どういう心境なのだろうか?

それは、想像し難いものだった。

やがて、そんな疑問も忘れ、中国史について考える機会はさほど無いまま、私は大人になっていた。

映画館で観るキングダムが面白い


時を経て、2024年。

いよいよ「キングダム 大将軍の帰還」の公開が開始!久々の映画館へ。

たまに行く映画館のワクワクと言ったらない。

たいしてお腹が減ってなくても買ってしまうチュロスやポップコーンの甘い香りが、劇場を包む。

ちょっとお高いからと言って、特別、美味しい!なんて事は無いはずなのに、映画館で食べるそれらは他の場所で食べる時とは異なる味を出してくる。

映画泥棒のCMすら愛おしい空間・・。

しかし、私は昔から、映画やドラマを全シリーズちゃんと観ることができない。

ハリーポッターは4以降観てないし、パイレーツオブカリビアンに至っては、3と4しか観ていない。かなり面白かった!という感想は持っているのだけど・・。

そんな私が、キングダムだけは、全シリーズ観ている。面白い。

キングダム(2019年4月19日)
キングダム 遥かなる大地へ(2022年7月15日)
キングダム 運命の炎(2023年7月28日)
キングダム 大将軍の帰還(2024年7月12日)

家には(夫が買った)漫画も全巻ある。

今回の映画は漫画で言えば15巻位からだったが、私はまだ2巻しか読んでいなかったので、中身を把握せず「前回の映画の続きか〜。楽しみ〜!」位のテンションで、去年の記憶を思い出しながら観たのだった。

感想としては、

今回も面白かった!最高!

なんだけど、なんだか泣けるシーンが多く、観終わった後は、ズンっと重くなった感情を引きずった。

これだから映画は困る。

3日経った今も、映画のシーンを漫画で読み返しては「はぁ・・。」と、ため息が出てしまう。

個人的にはネタバレ歓迎派で、小説とかドラマも、先に結論を教えてくれ!というタイプだけど、世の中にはネタバレが嫌いな人たちもいると知ったので、中身には触れないでおく。

ただ、心に刺さったシーンは一つ選んで記録しておきたい。

今回の映画の見どころ・主役となった王騎将軍は、知性や人間力もありながら、経験も強さも最強クラスの人で、本当に大将軍という言葉が似合うキャラクター。

そんな王騎に「修行をつけて欲しい」と頼んでいた信は、かねてより

「実践に勝る修行はない」


と言われており、「そんな戯言を言ってる暇があるなら100回は闘って勝ってこい」とミッションを課されるのであった。

なんだかんだ、ミッションクリアしたら修行してあげる約束をするあたり、王騎が信を育てようしていて、その関係性が素敵なのだけど。

そんな王騎が、改めて信に放つ言葉。

「そもそも大将軍の私に直に教わろうなんて虫が良すぎますよ。

そういうことは、自分で戦場をかけ回って学びなさい。ばか者。

みなと一緒に修羅場を潜り抜けなさい。」

ってとこ。そんで、大切な矛を信に向けてポンっと投げる。

おいおい、勘弁してくれ。涙

大沢たかおさんの演技が、間が、仕草が、全ての雰囲気がなんとも・・。「ばか者」という言葉の言い方にも、愛があったよ。

王騎はいつも、自分がどんな状況であっても、大将軍がやるべき役割を分かっていて、部下一人ひとりと向き合っている。

映画を観た人とは、ぜひ感想を語り合いたい。

信頼する人から貰う武器

って、なんか良い。

現代だったら、何が当てはまるか?

学生の時は、部活で尊敬する先輩から貰ったジャージや制服なんかが嬉しかった。

家族や親戚が、自分を大人として扱ってプレゼントしてくれたものも記憶に残る。

社会人になってからは、書籍や手紙とか・・?

と思ったが、いくつになっても、目に見えないギフトが一番心に残るかけがえのないものと感じる。

それは言葉だったり、思い出だったり、気がついたら真似してる習慣だったり。

時が過ぎても、心に残るギフトをくれる人は、とても有難い存在だなと改めて。

歴史は複雑で面倒くさい人間をよく知る助けになる


ところで、私は歴史が苦手だ。

決して嫌いではないが、自分は英語科に進学したので、普通科の必須カリキュラムと比べ、歴史に触れる機会が少なかった。

当時、全国的に問題となった履修漏れ問題も起き、それらは補講でカバーされたが、自身の好奇心を育て、知識を広げるには至らなかった。

もし、名門校や東進ハイスクールのCMに出てくるような名物先生と出会い、歴史を面白おかしく教えてもらえる機会があれば、ちょっとは変わったかもな〜と思うが(社会や環境のせいにしてみた😝)当時の自分がいくら歴史に触れたところで、変わらない気もする。笑

令和の時代は、YouTubeやPodcast、Voicyなんかでライトに楽しく歴史を学べる。

学ぼうと思って学んでる感覚すらないほどに、自然と楽しめる良い時代になった。

楽しいリスキリング万歳!勉強って、知的好奇心を刺激してくれる楽しいものだよな〜と実感させてくれる。

少し調べると「歴史は複雑で面倒くさい人間をよく知る助けになる」と語る人の記事を見つけた。

確かに、時代は違えど、人間の考えることや行動パターンが大きく変わることはない。

変わることもあれば、変わらないこともある。

過去、先人たちがやったこと、成功、失敗。どれを見ても、現代で大きな学びにつながることは多い。

歴史を知ることは、人間を知ること。

これは、今後、私が歴史を学び直す上で十分な理由になりそうだ。

司馬遷の史記とキングダム

ということで、大人になった今、改めて司馬遷の史記について調べてみた。

司馬遷は、東洋のヘロドトスと称され、世界最大の歴史書を書いた人物である。

史記は、「本紀」12篇、「表」10篇、「書」8篇、「世家」30篇、「列伝」70篇の計130篇からなる。

本紀 - 帝王の記録で、主権者の交代を年代順に記したもの

表 - 歴史事実を簡略化し、表で示したもの

書 - 政治に関する特殊なテーマごとに、記事を整理したもの

世家 - 諸侯の記録をその一族ごとに記したもの

列伝 - 各分野に活躍した人物の行いを記したもの

「本紀」と「列伝」から成るこの形式は「紀伝体」と呼ばれ、中国の歴史書の模範とされた

Wikipedia 史記より引用

らしい。

長い。

事実を書き残す史記と、漫画・アニメのキングダムでは内容に違いがあるはずだが、キングダムではフィクションな所もあるのだろうか?

どれが現実?

そんな事が気になり調べてみると、キングダムの作者である原 泰久(はら やすひさ)さんが、史記をどのように捉え、漫画はどのように描いているか、まとめている記事をみつけた。

史記を読み、原さんが解釈した内容を漫画にしているとのこと。

つまり、殆どが現実にあったこと。

春秋・戦国時代って、長い歴史の時間軸で言えば短いはずなのに、こんなに濃いものだったとは。

事実は小説よりも奇なり。史記もまた奇なり。

とはいえ、文字で読む史記と、キングダムで知る史記では印象が変わる。

どちらも素晴らしい作品であることに変わりはないけれど。

時代を超えて、面白い歴史を教えてくれた先人たちに感謝し、今後のキングダムも楽しんでいきたい。

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