【教育】きらりと光る作文の書き方ー高校入試小論文編ーその3
さてさて、このシリーズもこれでほんとに終わり。俺のフリック力の無さで2部にわたっちゃってごめんな笑。
ラストを飾るのは以下の問題。
はじめに断っておくが、あくまで俺ならという話。必ずしもそれで合格するとは限らないからね😏(保険)
きっとちゃんとした入試解説書なら、もっとしっかり分析したこと言うんだろうが、俺は分析もなにもしてないからね。ただ、俺ならきらりと光ってみえるのはこんな解答だよ、ということで。
さて、まずは問題を見てもらおう。
⑴「人生には二つの道しかない。一つは奇跡などまったく存在しないかのように生 きること。もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ」(アルベルト・アインシュタイン)という言葉について、あなたが感じたり思ったりする ことを述べる。
⑵「世界は『のっぺらぼう』である」(西江雅之)という言葉について、あなたが感じたり思ったりすることを述べる。
⑶平成24年版厚生労働白書にある福祉レジーム論とグラフ資料(下記3種)を読み、アメリカ、ス ウェーデン、フランスを取り上げ、図1・2の表す内容に触れた上で、福祉レジーム論による3類型 を参考に、「これからの日本の社会保障の負担と給付のバランスをどうすべきか」自分の考えを書 く。(540~600字)
グラフ資料:図1 ジニ係数(社会における所得分配の不平等さを測る指標。ジニ係数がとる値の範囲は0から1で、係数の値が大きいほどその集団における格差が大きい状態である。)の異なる4つの国(スウェーデン・フランス・日本・アメリカ)の所得格差に関する国民の意識調査の比較
図2 各国政府の格差是正に関する国民意識の比較
図3 日本における社会保障の負担と給付のバランスに関する意識調査
1.2は同じ高校の過去問らしいので、2校分ということだね。
どちらも、地域でもトップを争う有数の進学校らしいが、なるほどと頷かされるね。もはや何言ってるかわからない笑
前回と前々回の記事で、推薦作文は
生徒の意欲をみる課題
生徒の論理的思考力をみる課題
だと述べたが、この2校の課題にはさらにもう一つ、共通の意思を感じる。
それは
「未知」に出会ったときの対応をみる課題
とでもいえば良いだろうか。
多分、この学校を受ける生徒にとって、高校生活に意欲を持っていることも、基本的な論理的思考力を持っているのも当たり前の資質なのだろう。
違いもある。
前者はより哲学性を、後者はより高次の論理性を求めている感じだよね。
この問題を教えてくれたみほちゃんは、前者の問題を見て「知らんがな!」って言っていたけれど、実は個人的には前者の高校が好き😏
これはもう、いいとか悪いとかじゃなく好みの問題なんだけどな笑
今回の問題は、模範解答というより考え方だけ話をしておこうと思う。
さて、俺は好きなものを後に残すタイプなので、まず下の問題から。
⑶平成24年版厚生労働白書にある福祉レジーム論とグラフ資料(下記3種)を読み、アメリカ、スウェーデン、フランスを取り上げ、図1・2の表す内容に触れた上で、福祉レジーム論による3類型を参考に、「これからの日本の社会保障の負担と給付のバランスをどうすべきか」自分の考えを書く。(540~600字)
こちらは未知のものでも論理的思考力を駆使して答えろという問題には違いない。つまり、前回と同じやり方で解く問題だ。
端的にコメント欄で述べたことを引用すると
A こそあど言葉の「ど」
①ひとこと結論
②条件整理
③材料
a集める
b選択する
c順序立てる
(④書き出し)
(⑤題名)
⑥清書
ざっとこういう順番だ。
①こそあど言葉の「ど」
「これからの日本の社会保障の負担と給付のバランスをどうすべきか」
②ひとこと結論
ちょっと難しいね。単純化してみよう。
負担←→給付は、それぞれ多←→少があるよね。つまり4象限に分けられる。
負担多・給付少 、負担大・給付大
負担少・給付少、 負担少・給付多
このうちどれがいいのって話だね。ただし、この問題の場合、条件から考えるべき要素を見つけるので、ここは仮の結論ってくらいで。
私は個人の負担が少なく、給付が多く行き渡るのが良いと考える。
例えばこんな感じでざっくりと方向性を持っておこう。
③条件整理
⑶平成24年版厚生労働白書にある福祉レジーム論とグラフ資料(下記3種)を読み、アメリカ、スウェーデン、フランスを取り上げ、図1・2の表す内容に触れた上で、福祉レジーム論による3類型を参考に、「これからの日本の社会保障の負担と給付のバランスをどうすべきか」自分の考えを書く。(540~600字)
太字が条件だが、見てのとおり、問題文の全てが条件という無駄のなさがわかる。
ア 福祉レジーム論とグラフ資料(下記3種)を読み
グラフ資料:図1 ジニ係数(社会における所得分配の不平等さを測る指標。ジニ係数がとる値の範囲は0から1で、係数の値が大きいほどその集団における格差が大きい状態である。)の異なる4つの国(スウェーデン・フランス・日本・アメリカ)の所得格差に関する国民の意識調査の比較
図2 各国政府の格差是正に関する国民意識の比較
図3 日本における社会保障の負担と給付のバランスに関する意識調査レジーム論
この図表に太刀打ちできなければ仕方がない。諦めよう笑。なぜなら二つ目の条件が
イ 「アメリカ、スウェーデン、フランスを取り上げ、図1・2の表す内容に触れ」
だからだ。この条件は読み取れなければ書けない。
要は、個人にかかるものが最も大きいアメリカと、家族や企業にかかるフランスと、国家にかかるスウェーデン、それぞれの国民がどんな意識を持っているかまとめることになる。
ウ 福祉レジーム論による3類型を参考に
上の三つの国のような類型を福祉レジーム論ではそれぞれ名前をつけているのだが、要はそれを使って読み取って、日本としてはどの方向を目指すべきと思うか、論理的に説明するのが解答になる。
資料を読み取ることさえできれば、この三つの条件がそのまま書く材料になるはずだ。
つまり、この高校の課題は未知の課題に対して既知の情報をもとに解決を図ろうとする総合力を見ようといているといっても良い。
実は、複数資料をもとに自分の意見を組み立てる力は近年の国の調査等でもよく出題されている。日本社会が必要としている力なんだろうね。
それに対するのが前者の哲学的問題😏
まさに、文系軽視の現代に抗うようなこの問題、大好き😘
⑴「人生には二つの道しかない。一つは奇跡などまったく存在しないかのように生きること。もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ」(アルベルト・アインシュタイン)という言葉について、あなたが感じたり思ったりすることを述べる。
⑵「世界は『のっぺらぼう』である」(西江雅之)という言葉について、あなたが感じたり思ったりすることを述べる。
あなたが感じたり思ったりすることを述べる。
この問題、よく見て。
「感じたり、思ったりしたこと」を書け。
…って正解がない!ってならない?
だって、感じるのも思うのも全て、自分の自由だもの。
⑴「人生には二つの道しかない。一つは奇跡などまったく存在しないかのように生きること。もう一つは、すべてが奇跡であるかのように生きることだ」(アルベルト・アインシュタイン)
と聞いて、「ラーメン」を思いつこうとも自由なんだよ。もちろんなぜそれが結びつくのか説明できることが前提だけど。
例えば、
この言葉を聞いて私はラーメンを思い浮かべた。ラーメン屋を新規開拓するとき、私は常に事前リサーチをする。本で調べ、インターネットを使って口コミをリサーチし、その店に向かう。当然だが、その店のラーメンは美味い。スープと麺の絡みも絶妙だし、店の雰囲気も良い。当然だ、事前にリサーチをしたのだから。しかし、私はそもそもこのラーメン屋を目にした偶然にこそ思いを馳せる。数多あるラーメン屋の中でこのラーメン屋を見出だしリサーチした。そのことに奇跡を感じるのである。私はアルベルト・アインシュタインの言でいえば、後者に属するように思う。全ての必然は奇跡の上に成り立っているのだから。
……今、即興で書いてみたが、この高校の先生はどう判断するだろうか。入試でふざけるとは何事か!と激怒するか、ほほう、そう来たかと面白がってくれるか。
このテストの向こう側にいる先生たちのやりたいことは
「面白いやつはうちに来い!」
なのではないかと思わせてくれる、こんな問題は最高だ。
さて、みなさんだったら次の一問、どう答える?
「世界は『のっぺらぼう』である」(西江雅之)
一見、もうなんのことやらさっぱりだよね。でも匙を投げる必要はない。
だってあなたが感じたり思ったりすることを述べる問題だから。
なんなら、世界がのっぺらぼうなわけないだろ、きっとこの筆者は精神を病んでしまって世界が平板に見えるに違いないと、こき下ろしても良いし、いや、私は「いったんもめん」に見えると持論を展開しても構わない。
むしろ、まじめに論理的な答えかたをしたら面白くないやつだなと落とされそうである😏
こちらはまさに未知と遊べる力を選抜している問題だと思う。
おわりに
最後に暴論で終わったこのシリーズ、いかがだったでしょうか。自分自身、書きながら自分の作文指導を整理できて、実は一番いい思いをしました。
よろしければ、こんな考え方もあるよとか、そこは違うだろというツッコミもお待ちしております😏
これまで、こうして語ってきましたが、修辞法も作文の指導法も全く誰からも学んだことがないので、これまで語った全ての話は全て俺の思い込みであるという危険性をはらんでいることを告白して終わりにしたいと思います。これまでお付き合いありがとう!
お読みくださりありがとうございます。拙いながら一生懸命書きます! サポートの輪がつながっていくように、私も誰かのサポートのために使わせていただきます!