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(少し訂正の上再掲)…点と点を繋ぐと「縁」になる…Ep5                   音(声音)は繋がり「宴」(合唱組曲)になる

ある始点は
小さな街の
公会堂の
ステージ

私はステージ上にいる

演目のアナウンスが終わると
緞帳が上がり
その隙間から
少しずつ客席が見え
自分には
スポットライトが当たる

その一瞬のまぶしさが好きだった

私は
小さい頃
お琴を習っていた
市民音楽祭では
着物を着て
「六段の調べ」を演奏した

子どもの演奏順は
早いので
終わったら
客席で
全演目が
終わるのを待つ
ひたすら…待つ

その頃は
ママさんコーラスや
ギター演奏や
独唱・・・など
よくわからず
退屈だった

最後の演目が
始まった時

その一瞬の
音という(声音)
点と点が繋がると
何が起こるかを
体験する

座席に沈んだように
座っていた子どもの私は
パッと
飛び上がり
背筋が伸びるほどの
衝撃

その点の繋がりは
繋がりというか
和の広がりは…なに?

人の男女が出せる声音の音域を
組み合わせると
音が
声が
倍になり、3倍、4倍になり・・・
そして
それはとても心地よい

それは
「和音」というモノ
「ハーモニー」というもの
…それはもっと
大人になってから知る
そして
私が
最初は耳で
それから
心で
感じたモノは

「混声合唱」…

その時の演目は

こどものための合唱組曲「チコタン」
蓬萊泰三作詞
南安雄作曲

歌詞の内容は
なにもわかっていなかっただろう
けれども
軽やかなメロディと
初めて聞く言葉(関西弁)
おそらく
演技力表現力が必要な
この曲に
私は魅了され

いつか…
その点の一つになれたら
…と夢見る

しかし
所詮
子どもの感動だ
終わってしまえば
次に
何して遊ぼうかな?
…そういうこと

点は
点滅しながら
繋がっていた

私は
大人になり
混声合唱団の一員になり

「チコタン」を歌った。

この合唱組曲の最後は
こんなに
悲しい顛末だと
あの時の
私が
知らなくて
よかった

意味はわからずとも
子どもだった私が
初めて聴いた「合唱」に
「感動」するという・・・
そのことは
中学生の頃
英語の意味も
まだよくわからないのに
洋楽を聴いて
その言葉の流れと
おだやかな調べに
涙したことと

似ているかもしれない








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