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捜し物は一度あきらめると見つかる

隣のお兄さんは
プロの写真家が持つような
本格的なカメラで
写真を撮ることが趣味だったようで
小さい頃
よく写真を撮ってくれた

小さな白い花を
持ちながら
ポーズを取る
子どもの私・・・

そんな写真が
たくさん残っている

例えば
いろいろなモノを
片付けようと
「このケースは何?」と
フタを開ける
懐かしい品々
そして
開くアルバム

写真を見るたびに
思い出す

そう・・・
この小さい白い花は?
なに?
なんと言う名前?

昔は実家の花壇の縁に
たくさん咲いていた記憶がある
けれども
実家とお隣は
家も
庭も
改築されて
昔の面影は
少し残っているだけ
その花も
もう今はない

いつからか
ふとした時に
通りがかりの花壇を見たり
昔ながらの家並みの
石垣の隙間を覗いたり
植物園に行くと遠くから眺めてみたり
お花屋さんの売り場で探してみたり

時々思い出すように
私は
ずっと
この花を
探していた

でも
どこにもない
幻だったのか?というくらい
見つからない
しばらくして
もう探すことを
あきらめていた

思い出の写真の中に
そっと
閉じ込めておけば・・・
そういうことなのだと思って

それからもう
長い長い年月が経った頃
ある日
訪れた小学校の校庭で
用務員さんが
草取りをされていて
刈り取られた草の山の中に
「あれ?」
小さな白いつぼみを
見つけた

ああ・・・
それは
咲いてはいなくても
すぐにわかった
あの「花」だ

私は
それが捨てられるモノと言うことを聞いて
そのつぼみを
一株いただいた

家の庭に植え替えると
根付き
そして
咲いた・・・
あの小さな白い花だった

一度あきらめたから
見つかったのかもしれない

捜し物は
何度探しても
ここは探したと思っても
もう一度探してみる
でも・・・見つからない

そして
一度そのことから
離れてみる
あきらめてみる

そうすると
魔法のように
見つかる

あきらめることも
とても必要で
そうすることは
次のいいことへ
繋がるのかもしれない