見出し画像

愛猫とのお別れの日は突然に〜20年生きた猫・チャル♡〜

毎週火曜日に更新することしたnote。
先週は、18歳成人について冨永愛さんの言葉を引用して記事にした。
その翌日、
愛猫が逝ってしまった。

水曜日…お昼過ぎ

その日の朝は、同じように少しばかりの朝ご飯を食べて、いつも通りだった。
チャルはゴロゴロと寝てた。
日々、弱ってきてたけれど、
死の淵がスグそばまで来ているなんて、思いもしなかった。

   − * − * − * − * −

お昼もだいぶ過ぎた頃、遅い昼食を準備しようと台所にいた。
ドタドタドタッと、娘が2階から降りてきて、
「チャルがちょっとヤバいかも。」と。。。

すっ飛んでいくと、チャルは荒い息をしてた。
時々、手足を突っ張って、痙攣もしてた。
目は瞳孔が開いて、どこを見ているかわからなかった。

ずいぶん前から耳は悪くなってて、
聞こえないことは分かっていたけど、私たちは、必死に声をかけた。
なでると喜ぶ頬や、耳まわりや、喉を、やたらなで繰り回した。
ちっちゃな身体は、全身を揺らし、ハーハーと苦しそうにしてた。

スポイドで口のきわに、水を流すと、
ほとんどはだらだらと流れ落ちながら、時々、喉がゴクッと飲み込んだ。

しばらくすると、痙攣などが落ち着き、息も静かになってきた。
息をしなくなってきた、ではなく、静かになってきた。
フッと目に生気が戻ってきた。

ホッとした。
「チャル、もどってきたね」

立つ力もないのに、フラフラと立ち上がろうとするので、
お腹を支えて歩くのを手伝うと、
いつも横になるハウスの中へ入っていって眠った。


水曜日…夕方遅く

夕食の用意をしていたところへ、
また娘が2階から飛んできた。
「チャルが」

上がってみると、お昼間倒れ込んでいたところに
同じように横たわっていた。
静かだったけれど、
今度はイヤな予感がする静かさだった。

ほどなく、本当に静かになっていった。
身体全体で息をしていた動きも、しなくなった。。。

肺あたりに耳を当ててみた。
何も音がしなかった。
今度は戻ってこなかった。
チャルは逝った。

画像2


水曜日…残されて

娘は、ポロポロ、ポロポロ涙を流してた。
私は声を殺して、静かに泣いた。

まだ暖かく、柔らかな小さな身体を、代わる代わる抱いて、
慣れ親しんだ毛並みを、やさしく撫で、頭のにおいを嗅いだ。
本当に、ただ、眠っているだけ…みたいだった。

どれくらい抱いていただろう。
しばらくして、いつも丸くなって眠るフワフワの丸い寝床に横たえた。
ただ、堅くなってきた身体は、もう丸くなることはなく、
飛び出した脚の上にピンク色の毛布を掛けてやった。


木曜日…夕方

翌日。
日中の気温も高くなり始めていた。
ピンクの毛布の下には保冷剤をあてられていたけど、
いつもの場所でチャルは一日中、眠ってた。

横を通るたびに、冷たい頭をなでてやった。
いつものように。


そして、夕方。
だだっ広い裏庭に、娘と穴を掘った。
数年前に逝ったチャチャが眠る場所の横に。


深い穴の底に横たえさせられたチャル。
娘は別れがたそうに、いつまでも、いつまでも、その姿を見てた。

私は、目に焼き付けたくなくて、離れたところから見ていた。
娘がやっと踏ん切りをつけ、二人で土をかけた。

画像4


金曜日

車を走らせて1時間弱。
大きなホームセンターへと向かった。
チャルとチャチャを埋葬した場所を、可愛くしてあげたかった。
娘が鉢植えのミニバラを選び、一緒に飾った。

画像1


そして…今


部屋の中がとても静かなのに驚いている。
チャルの寝息、気配がない。
獣医さんには「暖かくしてあげなさい」と言われていたので、
いつもエアコンをつけ、寒いときはファンヒーターもつけていた。
そんな暖房器具の音も全くしなくなって、本当に静かになった。


携帯を開けば、画像も動画もある。
鳴き声、寝息、いびきもたくさん入ってる。
懐かしくて笑っちゃう。
でも "もういない…" と気付かされる。

子供たちが飼い始めたとはいえ、
一番長い時間、一緒にいたのは、わたし。

2度の乳がんの手術の決断をし、
弱って、大きな手術跡の世話をしたのも、わたし。

肛門嚢(腺)炎…、チェリーアイ…、
いろいろな病気を見守りながら、
お薬を塗ったり、飲ませたりしていたのも、わたし。

日々のご飯やおトイレの世話・片付けをしていたのも、わたし。

たくさんの手を掛け、世話をさせてもらった分、
いつもいつも、わたしのそばにいて、癒やしてくれてた。

とっても、とっても、寂しい思いと、
本当によく頑張って、生き抜いてくれたねぇ…、
という思いがこみ上げる。
でも、さすがだよ、チャル。
家族がみんな揃った翌日に、逝ってしまうなんて、出来すぎ。


私が今、ちょっとホッとしているのは、
チャルは十分に生き尽くした…、ということ。
そして、みんなが家にいない時、
わたし一人で、チャルが弱って苦しそうにしている姿を見守っていた時の、
あのなんとも言えないザワザワとした緊張感から、
やっと解き放たれた…ということ。


でも、想い出すのは…、
いつの間に近づいてきてたのか、振り向くとスグうしろの足元で、
わたしを見上げてくる、あの愛くるしい瞳、
そして、いつもあたたかいぬくもりを、
心にじんわりとどけてくれてた、あのやわらかい三毛の毛並み。

癒やしいっぱいのあの小さな身体が、冷たい土の中にあるなんて。。。
春のあたたかさとは裏腹に、しんしんと胸を苦しくさせる。


わたしは大丈夫だろうか…?
あんな相棒はもういないけど、
わたしを見上げてくれる、あんな人なつっこい瞳に、また出会えないかな。。。

画像3


この記事が参加している募集

#我が家のペット自慢

15,644件

#猫のいるしあわせ

21,901件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?