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サルスベリ(百日紅)を見ると想い出す…強い生命力に上を向いて頑張った夏
毎日、うだるような暑さ。
雑草たちは相変わらず憎たらしいくらい元気。
とうとう、先週末に除草剤をぶっかけられて茶色になってたはずなのに、
その横からコリもせずに生えてくるあのヤツら。
緑がうっそうとしてくるこの季節、
パッと華やいだ色で咲き、華やいでくれるのがサルスベリ。
"今年もこの季節が来たか……"
「あんたはコレを病院に持ってきたんやけんねぇ」
と笑われた。
![](https://assets.st-note.com/img/1658823196627-HgcGOTg9hq.jpg?width=1200)
実家の庭には、祖父が持ってきてくれたサルスベリの木があった。
ツルツルした白っぽい枝の先に、
ブドウの実を逆さまにしたような房状に
ピンク色の花がびっしりと咲いていた。
暑くて、もう咲く花もない庭の中で、
ギラギラの太陽の下、ぐったり気味のまわりの緑たちに囲まれ
ふさふさと咲く花びらは、それはもう美しかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1658823220746-9HRVGs3hky.jpg?width=1200)
「みゆきちゃん、ちょっとコレ、触ってみて」
と触れてみた母の胸に、しこりがあった。
私がまだ短大の夏だった。
その夏は、母にとって、
そして家族みんなにとって、乗り越えるに厳しい夏だった。
私は、家のことなど何にもできなかった。
お嬢様でもないのに、
お嬢様のように母に何でもしてもらっていた。
それは父も、妹も同じ事。
とにかく母が、何でもしてくれていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1658823553700-kUCKdYEJV5.jpg?width=1200)
手術の日のことは、あまり覚えてない。
病室に戻ってきた母の顔が真っ青で、あまりにもビックリして、
一人部屋を出た。
毎日、病院へ通った。
毎日、みんなのご飯の用意をした。
ご飯はどれくらいの予算で作るものかもわからなくて、
父はとにかくお金を渡してくれた。
私はとにかくご飯を作り続けた。
そんなズブズブのどんぶり勘定の毎日。
母が食べられるようになると、
値段もよく見ず、大好きなマスカットもよく持って行ったものだった。
大事なお金を預かっているというのに、
病院のランドリーコーナーに財布を置き忘れたことがあった。
スグ気が付いて取りに行ったのに、もう、なかった。
どこで気持ちの折り合いをつけたか覚えていないけれど、
《健康》がどれほどありがたいものかを感じる日々だったので、
元気な自分がお財布を失ったことなど、
いつまでもグチグチする気には、なれなかったのだろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1658823266857-HP6xnTWfrS.jpg?width=1200)
記憶は遙か遠いものになったけれど、
サルスベリの花を見ると、
庭に咲いたサルスベリを母にも見せたい…と、枝を切って、
病室に持っていったことを思い出す。
枝がツルツル、サルも落ちる…
と言われるところから、
運気が落ちる…と、あまり縁起がいいとはされない花らしい。
こんなものを病室に持ってきた娘を恥ずかしく思ったでしょうに、
母は何も言わなかった(苦笑)
母はそれからもいろいろ大病しましたが、
必ず復活する‼という強い人でした。
サルスベリを百日紅と、書くように、
夏に「百日」もの間、花を咲かせるような強い木。
その生命力は、生きるための良いエネルギーを降り注いでくれる
と風水で解釈されているものを、読んだことがあります。
庭にあったあのサルスベリが、
そのエネルギーを、母にも分け与えてくれたのでしょう。
今年の夏の厳しさは例年以上ですが、
あのかわいい花を愛でて、何とか乗り越えましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1658823292637-aTeDCHLLY8.jpg?width=1200)
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