【小説】『もうすぐ、光の玉が爆ぜる』第14話
港に下りると、船の上よりも何となく塩の香りを強く感じた。海にまっすぐ伸びたコンクリの岬には、麦藁帽子をかぶった子供たちがはしゃいでいるのが見える。網とバケツを持っているから、多分魚でも釣りに来たんだろう。岬の一番先っぽには、おじいさんが一人でのんびりと釣りをしていて、子供たちを何回か振り返っている。魚が逃げるから静かにしてほしいのかもしれない。
アサは右に向けていた顔を今度は左に向けた。反対側を見ると、白くてそんなに大きくない灯台が去年と変わらず海を見ていた。思わず、ただ