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【試し読み版】 君たちはもっと文鳥の素晴らしさを知るべきだ Vol.1

電子版限定のフォトブック「君たちはもっと文鳥の素晴らしさを知るべきだ Vol.1」の試し読み版です! いくつかのページサンプルと、収録されたエッセイのひとつをテキストとして掲載しています。

※ Kindle Unlimitedにご加入の方は正式なKindle版を無料で読めますので、そのままAmazonさんの商品ページへGo!


序文:この本について

ようこそ! 本書は電子書籍限定のフォトブックシリーズ「君たちはもっと文鳥の素晴らしさを知るべきだ」の1冊目です。

ふみ子こと白文鳥の「ふみ」が我が家にやってきたのは、2023年3月18日のことです。私にとって、初めて一緒に生活する小鳥でした。

普段の私は「シロイブックス」というレーベルで本を書く仕事をしています。文鳥に関しては、うまく撮れた写真をときどきSNSに載せたり、著述活動の場のひとつであるnoteにて、小鳥の魅力を紹介するちょっとした記事を書いたりしてきた程度でした。

しかし、世の中には小鳥にまつわるグッズを制作している素敵なクリエイターさんがたくさん存在しており、私も自分の手で何かをつくる仕事をしている以上、何か世の中の小鳥好きの人々に楽しんでいただける作品を世に出せるのではないかと考えました。

というか、「考えた」というのはほとんど後付けの説明で、実際にはノリと勢いだけで制作に着手したというのが本当のところです。ふみ子をお迎えして以来、我が子を溺愛するように写真を撮り溜めてきたので、素材には困りません。

これらの写真はごく普通のスマートフォンで撮影しており、プロのカメラマンの撮ったようなクオリティではないものですから(なんせ撮影場所は私の散らかった部屋です)、お金を取るような正式な書籍にするのはちょっと無理があるかな、と考えていました。代わりに、最近はKindle向けに無料の漫画が数多く公開されているので、本作もこれと同じ形式で無料公開しようというのが当初の想定でした。

ところが! 公開の準備を進める中で、Amazonさんで電子書籍を無料公開するには内容が「漫画」形式である必要があり、このようなフォトブックには「0円」という価格は設定できないと判明しました。

というわけで、この本には普段はとても真面目な本を書いている私による渾身の書き下ろしのエッセイを収録することにして(注意:エッセイの内容が真面目だとは言っておりません)、その上で、コンビニで気軽に買えるサンドイッチひとつ分くらいのお値段をつけさせていただく形としました。

本書のシリーズ名となっている「君たちはもっと文鳥の素晴らしさを知るべきだ」というフレーズは、私が2023年12月にnote上に公開した、文鳥の紹介記事のタイトルが元になっています。本書のページを開いていただけたということは、おそらくあなたは大の小鳥好きで、ネット上の文鳥界隈に存在する独特のノリについてもよくご存知のことでしょう。

文鳥が理不尽にキレ散らかすということは周知のとおりですが、文鳥と一緒に暮らす人たちは、誰もがそのような文鳥を丸ごと愛しています。ふみ子とひとめぐりの春夏秋冬を過ごしたことで、私はその理由を理解したように感じます。

シリーズ1冊目の本書では、2023年3月から2024年2月までの写真と、小鳥に関する3本のエッセイを収録しています。どうぞお楽しみください!

ページサンプル

夏の章 p.42-43
夏の章 p.54-55
夏の章 p.58-59
秋の章 p.72-73

収録エッセイより

essay 2: 鳥の落とし物と「例のひも」についての提案

ペットはかわいいものですが、ペットと暮らすということは「かわいがる」ことと同義ではありません。

動物は飼い主を選べないので、一度「飼う」と決めたなら、お迎えした動物が健康で幸せに生きていけるよう、常に配慮する責任が生じます。これを日常生活レベルで簡単に言ってしまうと、食事とトイレの世話をちゃんとするのが飼い主の第一の仕事になります。「心を通わす」と表現してもいいような関係というのは、その先に出てくるものです。まあ、これは長く文鳥と一緒に暮らしているであろう読者のみなさんに対しては、言うまでもないことでしょう。

小鳥は飛ぶために身体を軽くする必要があり、また地上に縄張りを持つという性質がないためか、トイレの場所を覚えるということをしません。普通に何事もなかったかのようにその辺に落としていきます(何をって? うんちょすを……)。ケージから出て、お部屋で活発に遊んでいるときなどは、だいたい10分に1回くらいする程度でしょうか。身体の器官としては総排出腔があるだけなので、そこから水分も一緒に排出される形になっています。

さて、文鳥の全身モフモフの中でも特にモフであることで知られるSiriですが、ここにはよく見ないと気づかない程度に、ごく細い羽毛が何本か生えています。生き物の身体に、理由のない部位というのは基本的にありません。おそらく、このような羽毛があることで排出の流れがスムーズになり、羽毛を綺麗に保てるというメリットがあるのでしょう。清潔さというのは病気との繋がりがあるはずで、こうした羽毛の存在によって小鳥の健康や生存率にわずかでも違いが出てくるなら、それは世代を重ねるたびに遺伝傾向として積み重なっていきます。これは自然淘汰と進化の一般的なプロセスとして説明できることです。

ここで重要な問題を提起します。この細い羽毛ですが、ネット上の小鳥を愛好する人たちの間では、一般的に「うんこひも」と呼ばれています。

あんまりではないでしょうか。この名称を文鳥界隈に定着させた人には、何らかの天罰などが下されることが適切であるはずです。夜道では気をつけるべきでしょう。ましてや、死んだあとに天国へ行けるなどとは期待しないことです。

このような暴挙が許されていいはずがないので、この場で「例のひもの呼称を改名すべきだ」ということを強く主張したいと思います。たとえば「ピロピロ」といった婉曲表現や、「ファンシーリボン」などのイメージ重視の名称にするといった案が考えられますが、そのような詳細は時間をかけて議論すればいいことです。何よりもまず、文鳥を愛するみなさんの間で、例のひもの呼称問題の重要性を共有することが喫緊の課題です。

世界のエネルギー問題や環境問題について深く考えもしないわりに、プラスチックストローをやめて紙ストローにしろなどと騒ぐ人がいます。あの縁日の金魚すくいのポイみたいな頼りない紙ストローについて言わせてもらえば、森林資源を使わないのがエコだというかつての主張はいったい何だったのですか? 雰囲気だけで社会問題を論じて、それで満足でしょうか。そんなことより、我々はうんこひも問題をどうにかすべきです。

主張すべき内容はまだまだありますが、まずは最初の問題提起という形でこの声明を結びたいと思います。うんこひもって言うな!

おしまい

試し読み版の内容はここまでです。ご購入ページはこちらになりますので、「面白そうだな」と感じていただけたらKindle版も読んでいただけると嬉しいです。では!

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