shiroANプロジェクト〜飲むあんこのVTuberを立ち上げてコミケで完売するまでの話〜

「飲むあんこ・theANko」の商品認知を目的とした「shiroANプロジェクト」のプ…

shiroANプロジェクト〜飲むあんこのVTuberを立ち上げてコミケで完売するまでの話〜

「飲むあんこ・theANko」の商品認知を目的とした「shiroANプロジェクト」のプロデューサー・かとうが、立ち上げから2023年8月の夏コミに出展して完売するまでのメイキングストーリーを綴っていきます。プロジェクト関係者のインタビューも掲載予定です。まとめ読みはマガジンから。

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第1回:企業系VTuberはこうして生まれる

2021年の3月。 まだまだ世の中はコロナ禍ではあったものの停滞していた経済活動は制限こそありながらも動き始めていた頃。自分は企業系VTuberの制作・ディレクターの仕事が増えていた。 VTuber業界の時の流れは本当に早い。この企業系VTuberという言葉のコンテクストも、企業が商品をPRする目的で活動する燦鳥ノムや根羽清ココロのようなVTuberから、ホロライブやにじさんじといった企業の事務所に所属するVTuberという意味合いに変わっていった。自分のような経歴を持っ

    • 【冬コミ】shiroANプロジェクトC103グッズ紹介!

      ※12月28日、お品書きやサンプルの画像を追加いたしました。 かねてからの告知の通り、12月30日と31日に開催されるコミックマーケット103に、shiroANプロジェクトが出展します。 ブース名:飲むあんこ「theANko」・shiroAN 企業ブース西4ホール ブース番号:1934です。 オリジナルラベルの飲むあんことクリアファイルのセット、描き下ろしshiroANグッズセット(Tシャツ&マグカップ&ショッパー)、描き下ろしイラストB2タペストリー、描き下ろしイラス

      • 第30回:そして閃光へ――

        2021年のshiroANプロジェクトの発足から、タイトル通り2023年の夏コミでの飲むあんこが完売するまでのストーリーを振り返る本連載も、第30回目で一区切りとする。約2年の歩みをこうして振り返って文章にする工程は、プロデューサーとして原点を確認して自分がこれからの1歩を歩んでいくうえでも、大変貴重な機会となった。 面映くもプロデューサーという肩書きは、プロジェクトの全体を統括しているポジションであるというわけだが、動画に関してはチーフディレクターという立場でもあるので、

        • 第29回:コミケを終えて。その先の世界へ

          コミックマーケットC102の2日目となる2023年8月13日も、前日同様に早朝から現地入りする。 1日目を経験したことで小慣れたところもあれば、小さなトラブルもあったのだが、無事準備も完了して開場を待つことに。前日は飲むあんこの個数制限をしていなかったこともあり、まとめ買いをしていただける方もいれば買えなかった方も出てきてしまったので、1種類につき1個までという個数制限をさせていただくことにした。 盛況を受けて急遽多めに在庫を用意してもらいつつ、そのような対策を取らせてい

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        • 飲むあんこのVTuberを立ち上げてコミケで完売するまでの話
          32本

        記事

          第28回:飲むあんこ、完売

          コミックマーケットC102の初日となった2023年8月12日。 会場外にできている行列を見て独自の熱気を感じつつ、西山さんとスタッフと一緒に現地入りする。設営や準備が完了して、会期がスタート。 「お目当てのブースを回ってほかのブースも見てみよう、という午後からが勝負になると思います」と言っていたのだが、フタを開けてみると開場してすぐに、飲むあんこやshiroANグッズを求めにやってきてくれた方々がブースに来てくれる。 「カタログを見て気になっていました」「告知を見て来ま

          第27回:はじめてのコミケ出展の苦難と確信

          何事もはじめてのものに挑戦することは大事なことなのだが、挑戦の過程ではさまざまな困難と向き合うことになる。 コミケに参加したことやほかのイベントへの出展経験はあったものの、コミケの企業ブースを出展する運営的な手配は、過去の事例などを参照に探り探り行なっていく。コスプレ衣装の制作もはじめての経験だったのだが、衣装スタジオのおしゃれなベテランデザイナーの方と打ち合わせを経て形作られていく。 それはそれで新鮮な楽しさはあるのだが、会期が近づくにつれてグッズのデザイン作業や入稿作

          第26回:コミケといえば

          2023年の5月末には、平子さんとときちさんを交えてコミケのキックオフ打ち合わせが行われた。新規描き下ろしイラストをもとにさまざまなグッズを展開しようということで、具体的な内容を決め込んでいくことが目的だった。 イラストの内容に関しては、夏コミということもあってほとんど迷うことなく水着だろうということで、差分として水着の上に上着をはおっているものを描き分けていただくことが決まる。 MV用のイラストは毎回ときちさんに描いていただいていたものの、キービジュアル的な位置付けのイ

          第25回:羊羹とはちみつとコミケ

          時をさかのぼり2022年の年末。 「party field」のコンポジットを担当することになる、たまちこさんのサークルの売り子として、自分は冬コミ(C101)に参加していた。コミケには企業ブースの売り子としても何回か参加していた経験があり、コロナ禍前はふらっと午後から立ち寄るということもしていた。 それ以外にもイベント出展やライターとしての取材経験も豊富なのだが、根底にはそういったお祭りごと・イベント自体が好きという気持ちがある。 サークル入場をするべく朝早くに東京ビッ

          第24回:モーションキャプチャー撮影のカメラマン

          前回の番外編の続きとなってしまうが、オープン初日から本日のお昼にかけて、たくさんの人にshiroANのECサイトを訪れていただき、山崎エリイ「shiroAN」限定セットは早速の完売となった。改めて応援感謝いたします。 第7弾オリジナルMVの「party field」の話題に戻る。 2023年2月に行われたキックオフ打ち合わせでは、構成要素がまとめられていった。ダンスをメインにしつつも、アバンとラストにshiroANちゃんがスマホを使ってダンス練習をしているという描写を入れ

          番外編:shiroANのECサイトがオープン

          この連載では2023年の夏コミまでのshiroANプロジェクトの歩みを振り返っているが、この記事が投稿される2023年11月24日にはshiroANのECサイトがオープンした。 番外編としてECサイトについて書き記しておくことにする。shiroANのグッズに関しては、プロジェクトスタート後にBOOTHにて取り扱いをスタートしていた。当時はまだshiroANプロジェクトの規模も大きくなく、グッズを作ってみたというだけにはなるのだが、受注生産で購入可能なので気になる人はチェック

          第23回:雨と誕生日

          「Rain's memory」は曲調と雨音を活かす形で、いわゆる作業用動画のようなビジュアルをイメージ。雨が降っている室内でshiroANちゃんが読書をしているというビジュアルは、すぐに固まっていく。おなじみのカセットプレイヤーはもちろん、奥側に積み上げられているVHSや無線機なども打ち合わせを踏まえて取り入れられていった。 窓辺のエフェクトやカップのエフェクト等のブラッシュアップが行われていき、いったん仮歌の状態で制作が中断。同時進行で歌唱キャストが山崎エリイさんとなるこ

          第22回:2つのMVと2つのライン

          YouTubeショートの展開を始めつつ、オリジナル楽曲のMVも並行して制作していた。第6弾オリジナルMVの「Rain's memory」と第7弾オリジナルMVの「party field」は、曲自体は先行して出来上がっていたためほぼ同時に制作をスタート。「パンタグラフ」に引き続き、ときちさんとAN1MAさんを起用する方向で2023年2月に打ち合わせが行われる。 新たな2曲のMVに関して、原点回帰ではないが1枚イラストを使用したものとモーションキャプチャーを有効に用いたもので作

          第21回:井戸を掘り進む。水はまだ出ない。

          shiroANプロジェクトでは月1の企画会議を行い、動画内容を決めたのち撮影をする段取りが取られている。shiroANちゃんがどういう存在なのか、どんな喋り方をするのか、どんなことが好きなのか。そういったパーソナルな部分も出していきつつ、YouTubeショート上で見てもらうための企画に落とし込んでいく必要がある。 まずショートではなくYouTube動画の流入源としては、YouTube側がおすすめ動画として表示するブラウジング機能やほかのチャンネルの動画の関連動画として表示さ

          第20回:YouTubeショートというレッドオーシャン

          2023年2月からYouTubeショートの収益化が行われるということは、関係する業界やYouTuber・VTuberの中でも大きな話題となっていた。 VTuberの活動は、大きく分けて動画と生配信に分類される。動画勢・配信勢などど呼称されるが、動画勢と呼ばれるVTuberよりも圧倒的に配信勢と呼ばれるVTuberが多い。 当然のことながら1本の動画を撮影して編集するためには多くの時間やコストがかかる。2時間の動画を撮影・編集すると10時間以上かかることもある。 自分でや

          第19回:モーションキャプチャーとアニメーションと写真

          基本的にショート動画の映像素材のためにモーションキャプチャー撮影を行っているのだが、初期の撮影では第5弾オリジナルMV「パンタグラフ」用の素材も撮影している。 MV内で歩き走るshiroANちゃんは、そのときに何度かテイクを重ねて撮影したものだ。素材の映像から動きのキーとなるフレームを抽出して、改めてAN1MAさんにフレーム打ちをして仕上げてもらうという方法を取ることになっていた。 モーションキャプチャー撮影は、その名の通りアクターの動きをセンサーとカメラで3DCGに落と

          第18回:VTuberのYouTubeチャンネルの運営戦略

          自分はいわゆる旧来的な意味合いの企業系VTuberの制作・ディレクター・運営の仕事をしてきた。YouTubeに関わる仕事というものもだいぶ一般的な認知がなされてきたので、何をやっているのかというイメージもしやすくなっているのだと思う。 そのうちの運営の仕事としては、チャンネルの方針設計やチャンネル管理、方針に則った動画企画を考えていくのが主になる。shiroANプロジェクトの場合は、MV投稿をしつつYouTubeショートに特化したVTuberという方針で運営していくことにし