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日本人が英語を学習するのが苦手な理由とは?

英語は世界で最も話されている言語の一つであり、日本でも多くの人が学習しています。しかし、日本人は英語を学習するのが苦手だと言われています。なぜでしょうか?

この記事では、言語学の観点から、日本人が英語を学習するのが苦手な理由をわかりやすく解説します。

英語と日本語の違い

英語と日本語は、言語学的に見ても大きく異なる言語です。以下に、主な違いをいくつか挙げます。

文法

英語は主語(S)・述語(V)・目的語(O)の順に単語を並べるSVO型の言語です。例えば、「I love you.」という文は、主語I、述語love、目的語youという順番になっています。一方、日本語は主語(S)・目的語(O)・述語(V)の順に単語を並べるSOV型の言語です。例えば、「私はあなたを愛しています。」という文は、主語私は、目的語あなたを、述語愛していますという順番になっています。このように、英語と日本語では単語の並び方が異なります。

また、英語では動詞によって時制や人称や数などが変化します。例えば、「I love you.」と「He loves you.」では、動詞loveが主語の人称や数に合わせて変化しています。一方、日本語では動詞によって時制や敬体や受け身などが変化します。例えば、「私はあなたを愛しています。」と「私はあなたに愛されています。」では、動詞愛するが時制や受け身に合わせて変化しています。このように、英語と日本語では動詞の変化の仕方が異なります。

さらに、英語では名詞によって単数形や複数形が変化します。例えば、「a book」と「books」では、名詞bookが単数形や複数形に合わせて変化しています。一方、日本語では名詞によって数が変化しません。例えば、「本」と「本たち」では、名詞本は変化していません。このように、英語と日本語では名詞の変化の仕方が異なります。

発音

英語と日本語では発音する音や音節も大きく異なります。以下に、主な違いをいくつか挙げます。

  • 母音

英語では母音(a, e, i, o, u)だけで発音される音や二重母音(ai, ei, ou, auなど)があります。例えば、「see」と「sea」では、母音だけで発音される音(/i:/)や二重母音(/iə/)があります。
一方、日本語では母音だけで発音される音はありません。日本語では母音は必ず子音と組み合わされて発音されます。例えば、「し」と「しい」では、母音は子音と組み合わされて発音される音(/ɕi/)や長母音(/ɕii/)があります。このように、英語と日本語では母音の発音の仕方が異なります。

  • 子音

英語では子音(b, c, d, f, gなど)だけで発音される音や子音の連結(bl, br, cl, crなど)があります。例えば、「cat」と「clap」では、子音だけで発音される音(/t/)や子音の連結(/kl/)があります。
一方、日本語では子音だけで発音される音はありません。日本語では子音は必ず母音と組み合わされて発音されます。例えば、「か」と「くら」では、子音は母音と組み合わされて発音される音(/ka/)や拗音(/kɯɾa/)があります。このように、英語と日本語では子音の発音の仕方が異なります。

  • アクセント

英語では単語や文にアクセント(強弱や高低の変化)があります。例えば、「record」では、名詞と動詞として使われるときにアクセントが異なります。名詞として使われるときは「REcord」(第一音節にアクセント)、動詞として使われるときは「reCORD」(第二音節にアクセント)と発音します。
一方、日本語では単語や文にアクセントはありません。日本語では単語や文はほぼ同じ高さで発音します。例えば、「タクシー」と「タクる」では、名詞と動詞として使われるときにアクセントは変わりません。「たくしー」と「たくる」と同じ高さで発音します。このように、英語と日本語ではアクセントの有無が異なります。
(タクるを動詞とみなすかどうかの問題は見逃して欲しい。)


英語を学習するのが苦手な理由

以上のように、英語と日本語は文法や発音やアクセントなど様々な点で違いがあります。これらの違いは、英語を学習する際に困難を生じさせます。以下に、主な理由をいくつか挙げます。

言語転移

言語転移とは、第一言語(母国語)の知識や習慣が第二言語(学習する言語)に影響を与えることです。言語転移は、正の転移と負の転移に分けられます。正の転移とは、第一言語と第二言語が似ている部分で、第一言語の知識や習慣が第二言語の学習に役立つことです。負の転移とは、第一言語と第二言語が異なる部分で、第一言語の知識や習慣が第二言語の学習に邪魔になることです。

日本人が英語を学習する際には、負の転移が多く起こります。例えば、日本人は日本語の文法や発音やアクセントを英語にそのまま適用しようとしてしまいます。これは、英語と日本語の違いを無視してしまうことになります。その結果、英語の文法や発音やアクセントが正しく身につかないことがあります。

言語距離

言語距離とは、第一言語と第二言語がどれだけ似ているかや異なるかを表す指標です。
言語距離が大きいほど、第一言語と第二言語は異なることを意味します。言語距離が大きい場合、第二言語の学習に時間や労力がかかります。
逆に、言語距離が小さいほど、第一言語と第二言語は似ていることを意味します。言語距離が小さい場合、第二言語の学習に時間や労力がかからないことがあります。

言語距離の図 (ブリタニカ百科事典)

日本人が英語を学習する際には、言語距離が大きいことが問題になります。英語と日本語は、文法や発音やアクセントなど様々な点で違いがあります。これは、英語と日本語の言語距離が大きいことを示しています。そのため、日本人は英語を学習するのに時間や労力がかかることがあります。


英語を学習するためのコツ

では、日本人は英語を学習するのが苦手な理由を知った上で、どうすれば英語を上達させることができるでしょうか?
以下に、英語を学習するためのコツをいくつか紹介します。

負の転移を避ける

負の転移は英語の学習に邪魔になることがあります。そこで、負の転移を避けることが重要です。負の転移を避けるためには、以下のような方法があります。

  • 英語と日本語の違いを意識する。英語と日本語は異なる言語であることを忘れずに、文法や発音やアクセントなどのルールやパターンを覚えることが大切です。

  • 日本語訳に頼らない。英語を日本語に訳して理解しようとすると、負の転移が起こりやすくなります。英語を英語のまま理解しようとすることが重要です。

  • ネイティブスピーカーの発音やイントネーションを真似る。英語の発音やアクセントは日本語とは異なります。ネイティブスピーカーの発音やイントネーションを聞いて真似することで、負の転移を防ぐことができます。

言語距離を縮める

言語距離が大きいと英語の学習に時間や労力がかかります。そこで、言語距離を縮めることが重要です。言語距離を縮めるためには、以下のような方法があります。

  • 英語に触れる機会を増やす。
    英語に触れる機会が多ければ多いほど、英語に慣れて言語距離が小さく感じられます。英語の本や映画や音楽などを楽しむことで、英語に触れる機会を増やすことができます。

  • 英語でコミュニケーションする機会を作る。
    英語でコミュニケーションする機会があれば、英語を実践的に使うことができます。英語でコミュニケーションする機会を作る方法はいろいろあります。例えば、オンラインで英会話レッスンを受けたり、英語圏の友人や知人と交流したり、英語でブログやSNSを書いたりすることができます。


まとめ

この記事では、日本人が英語を学習するのが苦手な理由として、言語転移と言語距離の二つの要因を紹介しました。また、それぞれの要因に対して、負の転移を避ける方法と言語距離を縮める方法を紹介しました。
これらの方法を実践することで、日本人は英語の学習において困難を克服し、上達することができるでしょう。

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