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誰にも言えないお胸のはなし

大学生になるまで、ブラをつけたことがなかった。
私が漏斗胸だと知ったのは、入社前の健康診断のときだった。


心電図検査で、看護師さんが電極をつける際に私の上半身を見て、
「漏斗胸だね」
と言った。

…ロウトキョウ?

初めて聞く言葉だった。
その後は健診どころではなかった。
急いで家へ帰って、その単語を調べた。

漏斗胸とは、胸部の一部が陥没している病気である。
約1000人に1人の割合で起こるもので、原因ははっきりわからないそうだ。

今まで、私はただの貧乳だと思って生きてきた。
これを知って腑に落ちた。
ただの貧乳ではない、病気だったんだと。


私の場合は、中心より右寄りの一部が陥没している。
そのため左右で胸の膨らみにすごく差がある。
本当は同じくらいの大きさなのかもしれないが、右の方が陥没している分、
小さく感じる。

直す方法はないのか必死に調べた。
確実なのはやはり手術だった。
3種類ほどあったが、どれも想像するだけで怖かった。
傷跡が残ってしまう症例をみて怖かった。

住んでいるのが田舎なので、適した病院は見つからなかった。
遠く離れた地で手術をし、術後に通う必要が出たときに通うのが大変だろうな。

できることなら手術はしたくない…


中学生の頃に、「俺お前より胸大きいぞ」と言ってきた男子がいたこと。
温泉にいったときに、保育園児に体をまじまじと見られたこと。

何気なくしたことだと思うが、私は傷ついた。

男の人とお付き合いすると、そういう場面も出てくるし、
友達や家族と温泉に行くことももっと増えてくるだろう。

それでも私は、諦めたくない。
手術をしなくともバストアップしたいし、少しでも凹みを治したい。

昨年に数ヶ月だけバストアップのストレッチをしたことがある。
ほんの気持ち程度かもしれないが、以前より凹みが目立たなくなった気がした。

少しずつでいい。
自分にあったやり方で継続してストレッチをしていきたい。

漏斗胸だからといって、諦めたくない。

いつかのあの男子中学生を見返せるように。


〜素敵な大人になりたい〜



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