UXについて学ぶ「UXグロースモデル(1)」
普段、制作を行うにあたって少し思考力が弱いと思い、ビジネス視点で色々な角度からデザインについて深く考えていこうとnoteを始めました。
主に本や他の方の考えに触れたものをまとめたり自分の考えを織り交ぜたりしていこうと思っています。認識の違いがありましたらソッと教えていただけましたら幸いです。
今回は「UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論」を読みました。私は普段、主にwebサイトのUIにあたるデザインしており、友人には台湾出身のUXデザイナーがいます。アフターデジタルの時代において、UXの重要性が高まっている中で、実は日本では「PCインターネット時代のUX」の認識で止まっているケースが多いそうです。実際、私も友人のUXデザイナーが具体的にどの範囲で仕事をしているか予想がつきませんでした。
本書では、デジタル上でのユーザー体験の改善方法やUXデザインの基本を解説しており、自分のデザインにも直接活かすことができたらと思いました。
まず、UI・UXとは何か。
UXの重要性
アフターデジタル時代ではテクノロジーとUXが新たな可能性をもたらしており、下記のような使い方次第でより自由な社会を作ることができます。
・膨大なデータを収集できることによって顧客理解が深まる
・三日坊主で一つの物事が続かない人などに向けてもアプリ・サポーター・道具の提供などを統合的な体験にする(=リアルとデジタルの融合させたUXを作る)ことでこれまで以上にユーザーをサポートできる。
現代はリアルとデジタルが融合する時代です。
・モバイル決済アプリ→お店での体験
・配車アプリ→移動先での体験
等、ウェブサイトの使用方法・ECでの買い方・製品の使いやすさにとどまらず「UXは日常生活そのものでありそれによって日常が形成される」とも言えます。
製品やサイト上の使いやすさに偏った話ではなく、社会や人々の日々の生活に潜む課題を見つけることから始まりそれに対してどのような価値を提供するべきかという定義も含みます。
現代はOMO(online merges with online=オンラインとオフラインの融合)が叫ばれるデジタルリアル融合時代になり、SNSで誰でも発信・ブランド・インターネットショップを開くことができ、誰でもノーコードで簡単にカッコ良いサイトが作れるようになりました。様々なユーザー・プロダクトが絡み合い社会における「対象物との関係性」の複雑性が高まった結果、UXを「人と物の関係性」と捉えるより、UXを「相互に作用する環境(=システムや構造物)」として捉えるべき時代になったと捉えたほうが理解しやすくなったとしています。
UXの開祖の一人でAppleのUXアーキテクト職についたドナルドノーマンは下記のようにUXを定義しました。
第一章:アフターデジタル時代に求められるバリュージャーニー型への転換
デジタル化の進展によって企業を取り巻く外部環境はどのように変化しているか、またそれに対応するために企業はどのように進化していく必要があるかを説明しています。
1.価値提供モデル:バリュージャーニー型の枠組みへの転換
<ビフォアデジタル時代>
企業は顧客とつながりを持つことが難しい時代だった。そのため、距離が遠い顧客に対して企業は一連のプロセスを構築することで価値を連鎖させていく仕組み(=バリューチェーン)を作る必要があった。
例)「メーカー」研究〜商品設計〜生産〜流通〜広告・販売
それぞれ独自のバリューチェーンを構築することで提供したい価値を顧客に届けていた。
●企業は個々のステップにおける小さな成功を支援する存在
例)旅行において「自動車→目的地への移動」という小さな成功
<アフターデジタル時代>
企業はスマートフォンにてデジタルチャネルという情報的な顧客との接点を獲得した。それによって、離れた場所からも顧客が求める小さな成功対して価値を提供できるようになり、結果的に大きな成功を支援することが企業の価値提供に変化した。
●企業は顧客が大きな成功に至るまでの行動フローを横断的に支援する存在
例)旅行において「プラン作成アプリ〜予約代行アプリ〜移動用の自動車〜旅行先の名所探索アプリ〜アルバム作成アプリ」という大きな成功
事例)スポーツメーカーNIKEの健康維持サポートアプリ「NIKE RUN CLUB」
このような取り組みを「D2C化(代理店や小売店を挟まずプロダクトをダイレクトに顧客に販売すること)」として捉えることもできるが、その本質は販売モデルに対してではなく、顧客の大きな成功を横断的に支援できる価値提供モデルへの転換にあると捉えるべきということが本書の主張。
2.収益モデル:ジャーニー使用料の請求モデルへの転換
<ビフォアデジタル時代>
「売り切り型の収益モデル」「ファネル型マーケティング」が主であった。
●売り切り型の収益モデル:企業が生産した製品をやサービスを売った時に得られる収益によってそれまでにかかったコストを一気に回収するモデル
購入してもらうことがゴールになるため広告・営業・販売に取り組むことが重要視されていた。その後のアフターフォローやカスタマーサクセスは投資するほど利益率を下げると捉えられていたため、顧客の「使用体験」を支援する活動は重要視されていなかった。
●ファネル型マーケティング:広告宣伝によって顧客の購買意欲を喚起することによって顧客を大量に呼び込み、なるべくこぼさないようにして収益を得るといった形のマーケティング活動
<アフターデジタル時代>
●バリュージャーニー型:無料・廉価版ジャーニーに潜在顧客が滞留する仕組みを作り、ジャーニー使用料を請求することで収益化するモデル
無料・廉価版のサービスに大量の顧客が滞留する状態を作った上で更なるサービスを求める層に有料版のサービスを提案することで収益を得ることができる。それによって広告・営業等の集客やマーケティング活動の役割を代替することができる。
事例)中国:平安保険の無償アプリ「平安グッドドクター」
マーケティングのゴールは「短期売り上げの最大化」から「LTV(顧客生涯価値)の向上・最大化」へと移行する。
日本の企業で言うと、ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社が50%ずつ出資した合弁会社「PayPay株式会社」が提供する、QRコード決済も当てはまるのではないかと思った。初期は「ばらまきキャンペーン」等でユーザーを呼び込み、ユーザーが増えた辺りのサービスリリース開始から3年後に加盟企業から手数料を請求していた認識がある。
3.社内体制:グロースチームの構築によるUXの継続的な成長
バリュージャーニーを継続的に成長・進化させる仕組みや新たな社内体制として「グロースチーム」といった組織が作られた。
なぜ、バリュージャーニーの継続的な成長・進化が重要になっているのか。
(1)機能更新が容易なデジタルサービスの役割拡大
(2)ユーザーの行動データをUXに還元できるようになっている
サービス立ち上げ時のコンセプトや設計方針はガイドラインに過ぎず、「リリース後継続的にUXを成長・更新させられるか」によって競争力が左右される。そして、昨今の情報テクノロジーによって企業はユーザーの行動データを取得できる環境にある。企業はUXを成長させる企画のありようを、ユーザー行動に関する事実に基づいて論理的に根拠立てて検討できるようになっているため、この変化にいち早く対応できた企業が競争優位を築ける。
第一章振り返り
アフターデジタル時代における「価値提供モデル」「収益モデル」「社内体制」について説明がありました。ビフォアデジタル時代・アフターデジタル時代どちらのビジネスモデルについてもイメージできる現代のサービスがたくさんあるように思います。(ビフォアデジタル時代で言うと、売り切り型の収益型モデルはまだまだあふれている気がしました)また、本書では「バリュージャーニー型に転換しない」選択肢についても説明がありました。デメリットがありながらも強い競争力を発揮し続けることが可能であるとしています。アフターデジタル時代のビジネスモデルに必ずしも追いつかなければならないと危惧するものではありませんが、AmazonやAppleのような大規模プラットフォーマーが直接的な顧客接点を獲得している中で、日本企業は徐々に競争力を失いつつあると言うことも事実だそうです。
(感想)
難しかったです。横文字に弱いので調べながら読みました。笑
日々使用しているサービスの裏にこんなに戦略的なビジネスモデルがあるんだ、と。そして、まだ一章。UXデザイナーの友人がどんなことをしているんだろ〜と気になって読み始めたこの本ですがスタート本としてはまだ早かったかもしれません。。読み始めた手前やめられないのでなんとか読了したい!その頃には私のビジネス視点も養われているかもしれないですね。教科書のように学ぶつもりで読み進めていきたいと思います。終わり。
(2023/07/09)
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