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離婚までのカウントダウン「『正しさ』のためなら暴力だって『正しい』?」

結婚して15年。子ども3人は小・中学生。スイッチ入ると妻子に暴力をいとわない正義漢の夫と離婚する決心がやっとつきました。でも、一体どうやって離婚を上手にできるのか?日々の赤裸々ノンフィクションを語ります。

長男のことば

「パパと話しても理不尽に支配的なだけで、話にならない。これまでは幼かったからただ一方的に怖かっただけだけど、こないだ詰め寄ってきたときに『こいつやばいな』って冷静に思った。一緒に住むのは恐怖と怒りしかない。」

中二の長男が言いました。

自分の言うことが相手に伝わらなかったり、相手が期待通りに応えないと夫はあからさまに不機嫌になります。そこまでは分かる。人間だもの。

でも、彼の場合は相手が身内である場合、一気に怒りスイッチを押します。
「こいつらは粗末に扱っても良い」
というルールがあるかのように。

「正しさ」を伝えるために暴力も「正しい」という考え方(ただし身内限定)

夫の「自分の正しさ」への固執は執着レベルのものがあります。「正しくないと彼がみなした者への暴力をもってした制裁」も彼の中では正しさなのです。

ところでもしその正しさが本当だとしたら、内容を伝える目的を果たす際、家族への伝え方とそれ以外への伝え方が異なるのは「正しくない」という点で理解してもらえるかもしれない、と思い、一度、恐怖の中で聞いたことがありました。

「正当さを伝えようとすることは理解する。でもこういう伝え方は、乱暴すぎないかと。友達にも同じように伝えるのだろうか?」
すると彼は少し考えてからこう答えました。

「…ちがうな」

そして、悪びれることもなく去りました。
後にも先にも、それが唯一私が論破できた瞬間だったわけですが、彼の言動がそれから変わることはありませんでした。

彼の「正しさ」の精度は案外低いものだと理解した瞬間でした。

自責する母親

夫が大きな声で主張すると、頭が真っ白になります。
適切なことを言っていたつもりなのに、次第に自分がどうしようもなくおかしな人間なような気がしてくるものでした。
「おまえの頭がおかしいからだろ!」
「あんたがバカだからだろ」

なんど言われたかセリフか知れません。

私はわりと論理的に発言を組み立てようと試みようとするタイプですが、夫の応戦に合うと、とたんにロジックが崩壊して、心の中の壁が崩落するような感覚になったものでした。

すると不思議なもので、最後の方には
「ああ、そうだよな。私の頭はおかしいのかもしれない」
と、夫の言葉を受け入れ始めるようになっていくのです。

問題発生の際に「自分が悪い」という結論にすれば、「解決」に至れる気がする、なぜなら「解決」に至れないと自分をとりまく空間が苦しいものになってさらに生きづらいから、という無意識が生んだ認知のゆがみです。
自己肯定感の低いタイプの人間が陥りがちな、不毛な生存戦略に他なりません。

そんなことを繰り返したことで、私はずいぶん私をいじめてきたなと反省しています。結婚当初は「ケンカ」という名前で理解しようとしていましたが、年数が進むと、こちらがどんなに平静な言葉遣いを用いようとも、いきなりスイッチオンになって夫の手や足が飛んでくるということが度々ありました。

きっぱりした長男

夫に

「被害者面するんじゃねえよ」

と言われるとき
「ああ、確かに。私は自分にも責任があるのに、被害者思考に向かいそうになってしまった。かっこうわるい。ちゃんと自分のNGと向き合わねば。」
と、思ったものでした。

でも、実際は悲しくてくやしくてやりきれなくてたまりませんでした。

今回、父親とのやりとりをもって、長男は
「父親のいる家にいることに身の危険を感じるから、家を出る」
と言いました。

私はこのとき、ようやく心の底から気付いたんです。

ーダメなものは、ダメだ。

それは洗脳が解けたような感覚でした。

「『被害者面』とかじゃない。被害者でしょ。」
と息子は私に言いました。

殴られても、顔面を足の裏で蹴られても、後ろから背中を蹴られても
ずっと
夫以外の理由を探して過ごしてきました。

人のせいにすることは、かっこわるいから

という、自分のこだわりのせいで。


息子に言わせてしまったことは、申し訳ないけれど
私はようやく目が覚めました。

暴力を使うのは
暴力を使う人の問題だ

と。

とてもすっきりしました。

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