不肖

思うに、謝りたいのだと思う。何に?彼に。どうして?己の罪悪感を払拭したくて。
大きくなるに連れて、視野が広くなったのか、はたまた狭くなったのか、あまり考えたくはないけど、背が高くなって、見える景色の中の、あなたの姿に、思うところが無いとは、決して言えないのです。
時代があったのでしょうか?環境があったのでしょうか、でも確かに、あなたが持っているものを、私が持っていないと、思う心が、嫌悪に沈みます。
どうしてできるのでしょうか、なぜ、そうなったのでしょうか。いいえ、違いますね、私自身が、何をしなかったのか、なのでしょうね。
劣るものを探せばキリがなく、愚かな振る舞いを思い出せば息がつまります。
でも。けれども。そんな不肖の身の私ではありますが、不幸ではないのです。生まれでたことを不運だと思ったこともありません。そう思えることを嬉しく思います。知ってか知らずか、欠け落ちた物にばかり目をやって、私が得たものに目が向きませんが、何時かは、この気持ちに折り合いをつけて、良きものに目を向け、良き振る舞いに起こせるようにしたいです。
零れそうになるおためごかしの謝罪を、一息に飲み込んで、何時かのときに寝かしましょう。
とりあえずはそれまで、ただ、なんでもないと、笑っておきます。

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