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城縫ヰ
2016年8月19日 22:31
彼はどうやら何処かの街のある一角の砂粒のようなちっぽけで石ころみたいにありきたりな所で生まれたらしいんだ。詳しいことはよく分からないけど、どうやらそうらしいんだ。でもって其処で生まれたのは誰よりも白い、白い、小さな赤ん坊だった。だけれども、一体誰が親なのだろうか、それが分からない。彼は何の日でもない、雪でも雨でも曇でもなかった、夜中にぽっつりと生まれたんだ。名前なんてあるわけがない。あっても使われ
2016年8月19日 22:33
白は街の中を逍遥とする。何をするわけでもなくて、何をしたいわけでもなくて、あゝ、彼はさまよっていた。靴などあるわけでもなくて、ざりざりとした地面が彼の足をずっとじくりじくりとさしては血が流れるわけでもなく、ひやりひやりと地面に白は霜を作りながら、あるくのだ。石造りの家々の隙間、取り残されたように置かれた寂れた公園の砂場に一人の少女がいた。特に少女はお友達を集めるわけでもなく、一人のままで、砂場をい