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濱口 鵺
2019年7月14日 01:04
あそこってさ、地域の名前とかは区画で違うのかもしれないけど、入っていったらわかんだよ。あー、来たなあ。ここだよなあ、ここの感じだよなーって。ものは散らかってるし、だれもかれも道端にすわったり大声で話し合ったり、人がちょっとおもしろい柄のシャツなんか着てたら指先でひっぱられたりなあ。とにかくみんながみんな人の事をすごく気にしてそれでいて全く気にしてないんだ。俺があの街の飲み屋でちょっといっぱ
2019年7月2日 00:58
あれはどの道をどう曲がってあの街にたどり着いたのだろうか。小雨の降る中、少し憂鬱な気持ちに合わせて山間の道を右に左にと軽自動車を走らせているうちに着いたのだった。そこは海を眺めれる小高い場所で、四十から五十世帯が連なる集落だった。どこの道にもどこの民家の庭にも紫陽花がところ狭しと植えられ、まるで緻密なちぎり絵のように精緻な景色を織り成していた。特徴的なのは民家の屋根のどれもが巻貝型の形をし