見出し画像

焼酎蔵のヒーロー「杜氏」 ~皆知ってるか、白金酒造の伝説を~

蔵人です。
焼酎造りに欠かせない存在

「杜氏」は「とうじ」や「とじ」と読みます。


■蔵人たちのあこがれの存在

【杜氏】は、蔵の焼酎(清酒も)製造を任された立場にあたります。
お酒に興味がない方にはなじみのない言葉ですね。

お酒の製造を志す者にとって【杜氏】という響きは特別のように感じます。「蔵子を統率する親方」とか「あの幻の焼酎〇〇を造った伝説の杜氏」とか。ちょっとミーハーだったりしますが、いずれは杜氏になりたいと想い憧れる存在です。

これぞ職人!と言わんばかりの立ち姿


■そもそも杜氏って?

鹿児島の従来の焼酎造りは、毎年蔵の社長が杜氏の郷を訪ねて製造の依頼をし、盆過ぎに杜氏が蔵子(くらこ:杜氏のもとで手伝いながら杜氏を目指す人)をひき連れてきて、仕込が終わる春先には郷に戻るといった習わしでした。
製造期間は蔵に寝泊まりして、昼夜問わず麹やモロミの管理をします。

現在は郷から来ることはほぼなくなり、「伝統的な杜氏」スタイルでなく、一つの役職として従業員がその立場を任されていることがほとんどです。

白金酒造の焼酎造りを支えてきた杜氏たち


■鹿児島の杜氏といえば

鹿児島の焼酎業界には「黒瀬杜氏」「阿多杜氏」と呼ばれる二つの杜氏の拠点があります。
(焼酎好きの方は聞いたことがある人もいるのでは?)
現在の従業員杜氏の中にもその流れをくむ方がいらっしゃいます。

焼酎は原料の品質だけでなく、気候や仕込み水、機材などによっても違いがでます。状況に応じて管理の仕方を微妙に変化させるのは難しく、なにより経験が大事です。
その蔵(製造場)の個性を十分に理解しているのが杜氏なんです。
酒質の設計から仕込みの管理方法、不測の事態への対応などとにかく頼りになる存在です。


鹿児島の人なら旧道を通る時に見たことあるのでは?

当社には製造場が3つあります。
この中に古き伝統の造りを継承する「石蔵」という手造り蔵があります。
この蔵には「杜氏」という役職があり、手造り焼酎の製造指揮を任されています。


■白金酒造は「黒瀬杜氏」の技を受け継ぐ

一代前の杜氏である「黒瀬東洋海」さんは杜氏頭として笠沙の黒瀬集落から毎年来られていた生粋の黒瀬杜氏です。
現在は師事した従業員が杜氏として製造を支えています。

ちなみに先代の笠沙の言葉は鹿児島弁のなかでもかなり難易度が高く、
鹿児島出身の蔵人でも何を言っているのかわかりません。
一方的に話して「がはは」とわらう杜氏さんに返す言葉もでなかった思い出があります。
しかし、仕事中にピンと張りつめる空気はさすが杜氏頭といった職人気質にあふれる存在でした。


今の杜氏は、仕事中は苦虫を嚙み潰したような感じで仕事をしろと言われてきたようです。真剣に仕事に打ち込む姿、背中で語る漢の中の漢。
仕事中はほぼ口を開きません。

多くは語らぬ、背中で語るのだ!!

声をかけると標準語では「うん?」というような返しをすると思いますが、鹿児島弁はだいぶぶっきらぼうに「あぁ?」と言います。
…まったく怒っていないんです。でも怖いといえば怖い…。

だいたい研修などで製造体験にいらっしゃった方は杜氏さんがほとんど口をきかないのでかなり緊張されますが、話しかけられたときは皆感動し喜びます。…話の内容は十中八九

「血液型は何型?」です。

杜氏さん独自の傾向と対策がそこにはあります。

工場には杜氏といった役職はなく、製造責任者がそれにあたります。
肩書は違えど焼酎製造にかける想いは同じです。
設備もまったく違いますので酒質を比べようもないのですが、同じ会社でありながらライバル関係でもあり、情報を共有する同士でもあります。

製造シーズンが終わり、造りの緊張から開放され少し落ち着いたときの製造反省会(飲ん方=飲み会)はとても楽しい。
150年続く焼酎蔵の蔵人たちは普段は寡黙でも、酒が入るとなかなか饒舌です。製造の話をつまみに造りのノウハウや想いを伝承しています。

こうして、白金酒造の焼酎造りの技は受け継がれていくのです。
 


編集担当より

焼酎造りにおいて欠かせない【杜氏】
焼酎の長い歴史の中で好まれる味は変われど、昔ながらの技と情熱は変わらないのだな!と編集をしながら感じました。

実は、「白金殿の従業員」ってヒントが出てた(笑)

みなさん、お気づきになりましたか?
このイラスト、2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のオープニング!
がモチーフになっているのだとか…

「いや!上手すぎる!!」


そして、編集担当ももちろん杜氏との初めての会話は
「血液型 何型?」でした(笑)





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?