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東京に期待しすぎていた。期待したものはなかった。

昨日、豊洲周辺を歩いて夜景を見たが、何故か虚しくて一人ぼっちであることを再認識しただけだった。

夏の夜風は気持ちよくもあり、まだまだ熱気を含んでいた。

私は北海道の田舎から大学卒業を期に上京した。

彼氏作れよと周りから茶化され、期待を胸に上京した。

満員電車に揺られ、けたたましく電子音が鳴り響く地下街を歩く。

東京は人工的に作られた音が多い。

最初は渋谷や銀座を散歩してはしゃいでいた。

でも、今は自分が都市の一部になったような気がした。

この思いは上京前に期待した感情なのかもしれない。

でも、蓋を開けてみれば人がめちゃくちゃ多いし街が連続的に連なっているだけ。

電車がぐるぐると同じところを回るメリーゴーラウンドのように感じられる。

燃え上がるような恋がしたかった。

知り合いを沢山作りたかった。

バーとかで始まる恋に期待していた。

でも、今自分の前にあるのは灰色の日常だ。

出会いはなかった。

今はこれまで築いた人間関係を元に東京を消費するだけ。

それでもいくらか東京にある有名な店や海外風のカフェにやたらと詳しくなっている自分がいた。

ブランドにも詳しくなっている。

前はユニクロ位しか知らなかったけど服のブランドに詳しくなっている自分がいる。

過去を置いてきぼりにして過去の私との距離が離れていく感覚。

いろいろな選択肢の中、私は東京にいる。

まるで並走する電車のように接近しては離れ、別の方向に行く。

東京を起点に無数の電車が同じような作りの郊外の街に行く。

東京は私にとって数ある選択肢のうちの一つでしかないが、それでも選択肢を可視化してくれたことに感謝したい。

新宿の地下街を今日も歩く。

いつもよりも風が吹いているきがした。





(ショートショート。記載の地名、私は筆者とは関係がありません。でも思いは一緒かも笑)

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