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小説感想『魔女に首輪は付けられない』

 どうもこんにちは。

 最近、新人賞の研究目的も兼ねて、色々なラノベ新人賞の受賞作品ページを見てるんですけど、一通り見てみた感じどうも「自分の趣味に合いそうな作品」がほとんどなさそうなことに気付きました。1つの賞につき5,6年分遡ってみてようやく1作品見つかるかどうか、みたいな感じです。

 ただ、表紙の絵とあらすじだけ見て「これは自分の趣味には合いそうにない!読まないぞ!」と思うのもどうかと思ったし、最近は読書量が中高生時と比べて著しく減っているので「それなら試しに何冊か買って読んでみよう」と考え、買ってみることにしました。そこで1番最初に買った小説が、今回の小説『魔女に首輪は付けられない』です。電撃大賞の大賞受賞作品らしいです。すごいっすね。

 自分はここ1年間、1ヶ月に約1冊のペースで5,60年前の純文学やSF小説を読んでました。元々そういう時代の小説が好きだったわけではなく、ちょっとした機会があってチャレンジするに至ったんですが……まあ趣味が合わない。しかも昔の小説なのでかなり読みづらいということもあり、今回の『魔女に首輪は付けられない』ではそういった部分で感じるストレスが解消され、存分に物語にのめり込めるんじゃないか、と思って結構期待してました。

 買って早速読み始めると、思ったより数十倍読みやすくて「う、うおおおおおお!! ページがすらすら捲れるぜ!!」という感じで1日で読み終わってしまいました。読みやすさは流石、電撃大賞の大賞受賞作品だと思います。以下、内容についての感想です。

※本編のネタバレ注意














 ……なんか全体的に微妙じゃない?

 初っ端から否定的感想で入ってしまって申し訳ないんですが、自分とはあまり趣味が合わない……というか率直に言って『そこまで面白いわけではない』と感じました。カクヨムに無料でアップされてたら、それなりに読んで「あー満足」となるくらいではありますけど、本として売られていると……うーん。

 いや、話の筋は綺麗ですし、キャラクターもそれなりに立ってて、設定や世界観も過不足ない感じで説明してくれて、全体的にキチンとしてるんですよ。キチンとしてるんですけど「おお!! これめちゃくちゃ面白いぞ!?」という風にストーリーにのめり込めなかったって言うか……好みなんですかね。

 ストーリーは、捜査官が魔女と組んで事件を解決するバディものなんですけど、アクションを主体にするにしてはそんなにアクションがないし、事件の犯人を推理するミステリーにしては謎解きをしている快感が感じられないと思いました。なんというか……平均点は高い優等生なんだけどどっちつかず、器用貧乏のような印象です。

 個人的に、映画でも漫画でもアニメでも小説でも何でも、自分は『ストーリーの面白さ』と『アクションのカッコ良さ』でその作品がどれだけ面白いか・好みだったかを決める傾向にあるんですが、この作品はどっちも微妙でした。上手く言語化出来ないのが辛い……さしたる欠点がないんですよ、この作品。欠点がないんですけど、ずば抜けた長所も自分には見られなかったです。

 キャラクターが刺さる人には、多分良い小説なんじゃないでしょうか。自分も、今回の黒幕に手を貸していたカトリーヌは個人的に好き(性格がえっちなのと、おっぱいが大きいのが良いと思います。小学生みたいな感想)なんですけど「カトリーヌが良いからこの作品大好き!」みたいにはならないっていうか……やっぱりどうしてもストーリーで目を引かれる部分がないとのめり込めないです。

 絵は良いと思います。ミゼリア可愛いしカトリーヌも可愛いしフマフも可愛い。……そう、可愛いんですけどカッコいいキャラがいないんですよね、この小説。主人公のローグ君は終始ミゼリアに対して怒ってばっかで(ミゼリアに対して怒る理由はわかるんですが)、その他にも特にカッコいいシーンがない(見せ場では幼児化してるし)しそこまで好きなキャラにはなりませんでした。あと微妙にやれやれ系主人公の系譜を感じて、そこがちょっと趣味とズレました。

 先ほど設定や世界観は結構良いと言ったんですが、魔術の設定がちょっと厨二チック過ぎて、個人的な好みではありませんでした。設定の出し方とかはいいんですけど、魔術の名前がね、ちょっとね……<液状化スープ>とか<着火ヒート>とか<羽化フライ>とか<時間操作コントロール>とか……「もうちょっと、もうちょっと何かあるだろ!?」みたいなネーミングが多いので、そこでも少し微妙な気持ちになりました。

 まあそんなこんなで、そこまで面白くないし趣味にも合わなかったので続刊は恐らく買いません……ただ、文章はすごく読みやすくて所々ウィットに富んでたので、そこら辺はやっぱり大賞受賞作品なだけあると思います。好みに合わなかったとは言え、読書の『勘』を取り戻してくれたという点では、この小説にはとても感謝しています。今も新しく小説を読んでいるので、これで読書の習慣がついてくれると嬉しいなぁ。

 そんなこんなで、少し短いですが感想を終わりたいと思います。次も何かの感想記事を書きたいですね。それでは。

(見出し画像引用:魔女に首輪は付けられない | 書籍情報 | 電撃文庫・電撃の新文芸公式サイト (dengekibunko.jp)

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