![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68150540/rectangle_large_type_2_6b3a0047491166dc3b6c000b9207fa1b.png?width=800)
【御礼小説】きみが笑ってくれるなら(another side)
👆 のお話の another sideです
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68151850/picture_pc_672c4d00ef94e8de4f0c777b4e3e15ef.png?width=800)
スキダッテイオウトオモッテタノニ、、、。
ゴメンッテアヤマルツモリダッタノニ、、、。
あの時、声を掛ける勇気が俺にあったなら―――。
「そんなに丁寧に描いたって、お前の絵なんて入賞した事ね-だろ」
絵を描くのを切り上げて欲しくて放った言葉。
口から出た瞬間に「ミスった」と思った。
目の前の線の細い彼女が、
少しずつ辛そうな表情になったのがスローモーションで見えた。
美術の課題はいつも居残りになる彼女と二人になりたくて、
わざと描くのを遅らせた癖に。
部活までサボった癖に。
「一緒に帰ろう」が照れくさくて言えなくて、
口に出た言葉は、最低最悪の言葉だった。
「知ってる、、、でも。
最後まで一生懸命、後悔しないように描きたい。
私、残りは家で描くね。」
小さな声で呟いた彼女が手早く片付けて走るように去っていった。
泣いて、、、、なかったけど、
泣く寸前みたいな表情(かお)してた。
パタパタと上履きの音が遠ざかっていく―――。
バカだ!
傷つけてどうすんだ!
このままでいい訳ない!
一生後悔すんぞ!
自分に特大のダメ出しをして、
バッグを抱えて教室を飛び出した。
下駄箱で野球部の奴らに見つかって、
「あれ、部活サボって居残りじゃなかったのかよ」
と散々からかわれるのを何とか誤魔化して、
慌てて上履きを履き替えて学校を飛び出す。
間に合うか!
まだ謝れる距離(とこ)に居てくれ!!
泣きそうなほどのデカい後悔が押し寄せ、
盗塁でも見せないような速さで彼女を追う。
、、、まだ遠くまで行ってない筈、、、。
あ、、、。
息が上がり、
足取りが重くなったその先に彼女は居た。
こっから見ても後ろ姿がしょんぼりしてるのが分かる。
俺のせい、、、だ。
肩でぜーはーしてて、かっこわりぃ。
息を整えてから声を掛けようとすると、
俺の少し前に居た男が彼女に駆け寄った。
彼女と男が話してたのは、
ほんの5分位の時間だったはず。
だけどフリーズしてた俺にはすげぇ長い時間に思えた。
男は同クラのサッカー部のGK。
目立つ奴じゃないけど、
男からも女からも人気がある奴だった。
奴が走り去ったのを見送る彼女の表情には
悲しさなんて1ミリもなくて、
ほんのり笑顔だったのを見て絶望した。
、、、、何やってんだ、おれ。
部活サボって居残りしておきながら、
「一緒に帰ろう」が言い出せなくて。
それどころか傷つけて、サイテーだ。
謝る為に走ったのに、
せめてあいつが声かける前に彼女の名前を呼べたら、
俺の話を先に聞いてくれたはずなのに。
間が悪いんじゃなくて、俺が悪い。
結局、好きだなんて告白できないまま、
彼女を追いこさないようにゆっくり歩いて帰った。
彼女の絵の優しい色合いが好きだって、
回りの音が聴こえないぐらい集中してる姿が好きだって、
妄想では何度も彼女に言えてたのに。
彼女は恥ずかしそうに笑ってくれてたのに。
1カ月もしない内に、
彼女がGKのあいつと付き合いだしたって聞いた。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68152837/picture_pc_aa100fa107996aa11a3bd1d3f0fda96f.png?width=800)
「お、海人(かいと)久しぶり!」
真(しん)から明るい声が掛かって笑い返す。
「クラスの同窓会は初参加だしな。元気してた?」
そこから始まる社会人あるあるでとりあえず盛り上がる俺ら。
失恋を抱えたまま卒業した俺は、情けないことに結構引きずってた。
いい加減吹っ切ろうと思って同窓会に出てみれば、
彼女もGKのあいつも来てなかった。
「あいつらきてねーの?」
「あいつら?」
「優斗だっけ?GKの奴と付き合ってた子」
「あぁ、あの子達は来ないよ~!」
いい感じに酔った雰囲気の女子が教えてくれた。
「へぇ、毎回来てるって聞いてたんだけど。」
さり気なく詳しく聞こうとしてる俺。
「しょうがないよ。
結婚して子供が産まれるから忙しいって。
未那、予定日はイブだって言ってたよ。」
「まじか!
あいつらすげー!
高校から付き合って結婚して出産って!
しかもあと4日で赤ちゃん生まれるんだ!!」
真がわざとらしく大声で叫んで他の奴らに伝えると、
皆が一斉に笑顔になって、乾杯を繰り返した。
そっか、、、結婚に出産。
着実に進んでる彼女とあいつの物語。
いい加減、前向かないとな。
大きく息を吐きだしてから、
「優斗と未那と赤ちゃんにカンパーイ!🥂」
野球部仕込みの大声でその場を盛り上げた。
君が笑っていられるなら。
その隣に居られなくても幸せな気持ちになれる。
それが俺なりの愛だったんだ。
(おしまい)
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68153855/picture_pc_d7b10d83b85cdac803112152b7e7e5ee.png?width=800)
どのタイミングで発表するか迷って、最後の最後になっちゃいました。
どうしようもない発言しちゃった男子のウラガワでした( *´艸`)
素敵な企画に参加できたこと
同じ参加された方の作品を読めたこと
読んで下さる皆さんが居てくれたこと
何よりも企画運営を頑張って下さったスタッフさんに
心から御礼申し上げます。
凄く楽しかったです。
ありがとうございました (*´ω`*)
お疲れさまでした(*'▽')ノ
💖🎄 メリークリスマス 🎄💖
優しいお気持はありがたく、ちゃっかり頂く方針にしました💖