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今日もお酒を飲む。

私はお酒が苦手だった。
今も特に好きではない。

会社の先輩や仕事仲間と飲み会に行くときは、いつも一人ソフトドリンクを頼んでいた。

周りは私がお酒を飲まないことに対して、特に気にすることはなかったため私はいわゆる素面のまま、食事メニューを頼みつつその場の雰囲気を楽しむことができた。

私はお酒が弱い。
だが、両親ともに飲む。
特に父は飲もうと思えば朝からお酒を飲むことができる。(そんなことをしたら母に叱られるが)

そんな父も大学生時代(もちろん20歳以降)はお酒が弱かったそうだ。
就職して当時は今より飲み会が多く、飲まされることはあったそう。
最初は吐いてしまうこともあったが、自分の限界を知ってからゆっくり少しずつ飲める量を増やしたとのこと。

両親ともに強ければ飲めるはず、という言葉を知っていた私は、父の話を聞いて弱くても少しずつ飲めるようになっていけばいずれ私も父のように飲めるだろうと思ったのがきっかけで、友人とバーに行ったらお酒を頼むようになった。
最初はアルコール度数が低いサワー系を頼んだ。

ダメだった。眠くなるか、頭が痛くなるだけ。
これでは楽しいなんてものじゃない。
お酒を飲んで酔って楽しむ感覚が私には分からなかった。
お酒に強くなるために飲み続けたら自分を苦しめるだけ。

その日から私はお酒を飲まなくなった。
会社や知人同士の飲み会に行っても今の時代、お酒の強要は無いのでソフトドリンクを頼んでも楽しめる。
最悪、「車で来ているので」と言えばいい。逆にドライバーは歓迎される。
お酒を飲まなくても楽しめるのだ。

……だが、そんな私は家ではいわゆる『宅飲み』を隠れてしていた。
といっても試供品の150mLの小さなビール缶を1時間くらいかけて飲む程度だが。
それが私の中での「自分のペース」というものだった。

それでも眠くなり頭が痛くなるが、きついほどではなかった。

その発見は私にとって小さな成長だった。

長時間宅飲みを続けている中、あるYoutuberのワインやウイスキーの紹介動画が目に留まった。

その方はワイン専門の投稿者ではなく、生放送の中で「今日のワイン」の紹介をするという感じだったが、香りや風味を楽しんでいた。

それを見て私はあることを思った。
アルコールには「焼酎系」と「ウイスキー系」がある。
私が今まで飲んでいたサワーは「焼酎系」であり、ウイスキー系は度数が高い、と言う理由で避けていて今まで飲んだことがない。

逆にゆっくりしか飲めない私には、意外と香りや風味を楽しむウイスキーの方が合うのではないか、と。
さっそく好奇心が沸き、ウイスキーを買ってみようと思った。

「ウイスキー 初心者」

と検索しても大瓶の紹介が多く、私が求めるものはない。

実験で飲んでみるだけなのにいきなり大瓶を買うのは……と躊躇していた時、

『サントリー角瓶 180mL』

が目に留まった。(KIRINさん、すみません)

これだ! と思った私はすぐにレジかごへ入れ、会計した。

ワクワクしながら家に帰ると、さっそくコップを取り出した。
割って飲む炭酸ジュースをよく作るため、炭酸は常備してあった。

ウィスキーをソーダで割る、つまりハイボールだ。
お店と違って自分でお酒の量を決めることができる。

コップ一杯に氷をいれ、お酒を入れる。
お酒と炭酸の割合は1:10 いや、1:20? かな

それでもお酒の風味とアルコールの独特の味を感じられたので私には十分だった。

いつもより強めのお酒とあってか、飲み終わったあと少し頭痛がするかなという感じはしたが、心地よい痛みだった。

ウイスキーなら飲めるかもしれない、と私は思った。

その日以降、自作ハイボールを休日に飲むようになった。
時にはレモンを入れたりして風味を変えたりして楽しんだ。

頭は痛くなるが、眠くならないのが私には嬉しかった。

まだ飲み会など、知人や同僚との前ではお酒は飲まないが、宅飲みはする。
次はどんな料理と合うかいろいろ研究しながら飲んでいきたい。


私は今日もお酒を飲む。
……やはり私はお酒が苦手だ。


<了>

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
心桜鶉

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